梅いち凛 ~咲いた津田塾生~

英語劇を通して得た、同じ志を持った仲間 - 大川 遥奈さん

『梅いち凛 〜咲いた津田塾生』は、現役学生にスポットを当てたロングインタビュー連載です。plum garden編集部員が、憧れの先輩や何かを成し遂げたクラスメイトに話を聞きに行きます。(郷路拓也 / plum garden顧問)



サークル活動は大学生活の華。津田塾大学でも、多くの学生が様々なサークルに打ち込んでいます。今回、『梅いち凛』の第1回記事を担当することになった私達は、英文学科3年の大川遥奈さんにインタビューをお願いしました。

大川さんは、私達も所属しているサークルTESS(Tsuda English Speaking Society)の先輩で、いつも素敵な笑顔でサークル全体を和ませてくれます。サークルでの大川さんは、1年次から英語劇のキャスト(役者)として、さらに学年が上がるとイングリッシュ・ディレクター(英語指導)、さらにTESSプレジデント(津田塾大学英語会会長)として大活躍されていました。今回のインタビューでは、大川さんがサークルでの体験を通して得たものについて、じっくりとお話を伺うことができました。
 

大川さんのサークル「TESS」とは?

「TESS」とは、Tsuda English Speaking Societyの略称で、津田塾大学において長い歴史を誇る英語会サークルである。TESSには常に100人以上の会員が所属しており、津田塾大学のサークル中最大規模のものとなっている。このサークルは、スピーチ・ディベート・ディスカッション・ドラマの4つのセクションで構成され、それぞれのセクションで学生が様々な英語活動に取り組んでいる。大川さんが所属するドラマセクションは、一橋大学国際部のドラマセクションと合同の英語劇サークルとして活動しており、両方の頭文字をとって「ひとつだプロダクション」と呼ばれている。
 
「ひとつだプロダクション」は、毎年11月に一橋大学+津田塾大学、慶應大学、立教大学、早稲田大学からなる四大学英語劇大会に向け、夏休み前から準備に励む。この大会は、来年度で第79回目を迎える歴史のあるものだ。GP(総合優勝)、SE(ステージエフェクト賞)、EP(イングリッシュプライズ)、BP(ペストパフォーマー賞)の4賞が存在し、各大学が受賞を目指す。大川さんは第77回大会(2013年)でに、ひとつだプロダクションがGPとSEをダブル受賞した際、イングリッシュ・ディレクターとして英語の指導を行っていた。




 

英語劇との出会い

- どうして、TESSのドラマセクションに入ったのですか?
 
「サークルオリエンテーションで、『ひとつだプロダクション』のプロモーションビデオを見たことがきっかけです。そのビデオに映る、学生が作ったとは思えない劇のクオリティの高さや、和気あいあいとしたサークルの雰囲気に惹かれ、入部することにしました。実は、必ずしも劇に興味があったわけではありません。しかし、もともと役者のように何かになりきることや、英語を使うことが好きだったので、紹介された際、英語劇を創る活動自体に魅力を感じました。」
 
- 「イングリッシュ・ディレクター」はどんな仕事をするのですか?
 
「昨年、仲間である演出家が、その前年度の反省から『舞台用英語』を基礎から学ぶことに重きを置くようになりました。そして私がイングリッシュ・ディレクター(英語指導)を務めることになり、1年生で役者だった頃に教わらなかった『舞台用英語の基礎』を研究し、自分なりに確立させ、それを役者である後輩に伝えることになったのです。舞台用英語は、発音をクリアにするだけでなく、最後の言葉まではっきり観客に伝える必要があります。たとえば、”don't”の場合、通常の会話では言わない”t”までをキレよく腹筋を使って発音しなければなりません。正直、最初は不安だらけでした。ゼロからのスタートだったからです。」
 
「指導アプローチが上手く機能せず、後輩が悩んでいるのに何をすべきかわからない自分にもどかしさを感じることもありました。その時は辛かったですが、なんとか私なりに『舞台用英語の基礎』を確立させたことで、克服することができました。それも、OBやOG、他大学のイングリッシュ・ディレクターの支えがあったからだと思っています。」

サークルで得たもの

- 3年間のサークル活動を通して得たことは何ですか?
 
「賞を獲ったことよりも、同じ志を持った仲間を持てたことです。家族よりも長い時間共に過ごし、どんなときも側にいて、困った時に背中を押してくれる仲間がいたからこそ、3年間やり遂げることができました。このような仲間を得られたことが何より嬉しかったです。」

- 大川さんにとって、「ひとつだプロダクション」はどんな場所ですか?
 
「私はサークルを続けるにあたって、『楽しむ気持ち』を常に忘れないようにしていました。たとえ周りから、『毎日欠かさず夜遅くまで稽古があるなんて、よく続けられるね』と言われても自分の中でその意義を見出していたので、辛いことも含め楽しみました。ひとつだプロダクションには、良い意味でも悪い意味でもプライドの高い人がそろっています。だからそれなりに衝突することも多く、よく話し合いました。そのためか、多角的な個々の意見に触れ、インスパイアされることが多かったです。一橋大学と津田塾大学だけの狭いコミュニティですが、一見狭そうに見えて、実は奥深く、広いところなのです。」
 
「だから、私にとってひとつだプロダクションは、『楽しみながら自分を成長させてくれた場所』だと言えます。また同時に、私の大学生活そのものです。」

TESSプレジデントとして

- TESSのプレジデントとしての仕事はどのようなものでしたか?

「本当に環境に恵まれていると感じました。まず、他の3つのセクション(スピーチセクション・ディベートセクション・ディスカッションセクション)の幹部同士とつながりが出来て嬉しかったです。セクションごとに大会の準備や運営をしているため、どうしても集まる機会が少なくなってしますのですが、TESS全体のミーティングで様々な人とお話しし、視野が広がりました。」

「また、地域との繋がりもありました。公民館から講師の依頼を受けて、今年の8月から10月、毎週金曜の夕方に、20人ほど集めて英語教室を開催しました。学生オリジナルで、基礎英語『おもてなし英語』を実施し、授業を通して、地域間との結びつきも強くなったように思いました。1年間TESSのプレジテントに就いたことで、ドラマセクションにとどまらない人との繋がりを実感しました。」

- TESSのプレジデントを終えた今、どのように感じていますか?

「実は3年生に上がった時、ひとつだを続けるか、迷いました。視野を広げるための留学を考えたからです。しかし責任感から、TESSのプレジデントをやらねばと思い、続けることにしました。結果的にプレジデントになったことで、今までとは違う人との出会いが生まれ、様々な知識や経験を得ることもできたので、今はとても満足しています。」

インタビューを終えて

いつも笑顔で場を和ませてくれる大川さんは、「何事も楽しむ」精神をもつことで、数々の苦難を乗り越えていました。取材中、生き生きとサークルのことを話してくださる様子から、大川さんが心からTESSでの活動に熱中していたのだとよく分かりました。常に前向きに考える大川さんだからこそ、「舞台用英語の基礎」の確立、TESSのプレジデントとして他のセクションや地域の人との繋がりを作り出すことを成し得たのでしょう。大川さんの成し遂げたことの大きさを改めて知り、私達は後輩として、ますます尊敬の念を強めることになりました。



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