わたしと津田塾大学

留学レポート 〜準備編〜

夏休みが終わり、第3ターム*1が始まりました。アメリカでは、9月といえば新年度がスタートする時期です。執筆者は2023年9月からアメリカのウエスタン・ワシントン大学に協定校留学をします。この記事では、執筆者が留学に向けて行った準備をご紹介するので、もしよろしければ参考にしてみてください!

*1 津田塾大学では4ターム制を導入しており、9月初旬から11月中旬までが第3タームとなっています。(年度により日程は異なります)

1. 協定校留学を決意する前に

長期留学を希望するとなれば、気になるのは4年間で卒業できるか否かではないでしょうか。4年間で卒業できるかどうかは留学時期や期間にもよりますが、教職課程を履修している場合はできません。執筆者は教員免許取得と長期留学を望んでいたため、両親に大学を5年間で卒業することの許可をもらって留学を決意しました。また、留学したい国や大学が協定校に含まれているのか、お金がどれくらいかかるのかも確認する必要があります。執筆者はアメリカの西海岸への留学と、費用もできるだけ抑えたいという思いがあったため、ウエスタン・ワシントン大学の交換留学、*2を志望しました。

*2 ウエスタン・ワシントン大学には、交換留学と派遣留学という2つの選択肢があります。交換留学では授業料が減免となります。


2. 出願資格を確認する!

協定校留学を目指すことや志望する国・大学が決まったら出願資格取得を目指します! 津田塾大学では協定校留学の学内選考にあたり、出願資格を以下のように定めています。(2024年度協定校派遣学生募集要項より抜粋)

  • ① 学部生は派遣年の前年度までに30単位以上の科目を修得していること
  • ② 出願時に学部2年生以上に在学しており、出願時から留学期間終了時まで本学に在学中であること
  • ③ 本学の学業成績が原則として総合GPA*3 2.8 以上かつ志願先大学のGPA条件を満たしていること
  • ④ 志願先大学の要求する語学能力を有していること
  • ⑤ 十分な資金の準備ができること
  • ⑥ 異文化適応能力があり、心身の健康状態が良好であること

これらに加えて、各協定校ごとに出願資格が異なるため注意が必要です!例えば、執筆者が留学するウエスタン・ワシントン大学の場合は以下のようになっています。(2023年10月1日現在)

  • ① 出願時に学部2年生以上または大学院修士課程に在学しており、出願時から留学期間終了時まで在学中であること(大学院の授業は原則として受講できない)
  • ② TOEFL iBT*4 80 または IELTS 6.5 以上

一方、津田梅子が留学していたブリンマー大学では、TOEFL iBT 100 またはIELTS 7.0 以上の語学能力とGPA 3.0 以上を要求しています。ひとまず執筆者はGPA 2.8以上・IELTS 6.5以上の取得を目指すことにしました。

*3 GPAは、Grade Point Averageの略で、大学で修得した単位の成績評価の平均(1単位あたりのポイント)を表すものです。「(4×Aの修得単位数+3×Bの修得単位数+2×Cの修得単位数+1×Dの修得単位数)÷総履修登録単位数(F.Xの単位数含む)」に従い算出されます。
*4 TOEFL®テスト(Test of English as a Foreign Language)は、1964年にETS が英語を母語としない人々を対象に開発した世界基準の英語能力測定試験です。ETS TOEFL『ETS TOEFL JAPAN』アクセス日:2023年9月18日現在


3. 目標のGPAをとるためには...

目標にしていたGPAをとり終えた今、執筆者が大切にしたいと思うことは、無理のない範囲で日頃の授業に熱心に取り組むということです。確かに、よりよい成績をとるために頑張ることは大切ですが、体調を崩してしまっては本末転倒です。体を労りながら学業に取り組みましょう!
また、どのように熱心に取り組むのかも人によって変わりますが、執筆者の場合は授業中にできるだけ発言をしたり、ディスカッションの進行を率先して担当したりしていました。実際に執筆者がどれくらいのGPAをとったのか……はトップシークレットですが、とりあえず目標はクリアできました!

4. IELTS受験

GPAの他にとらなくてはいけないスコアがIELTSまたはTOEFLです。執筆者は高校時代に何度かIELTSを受験したことがあったので、TOEFLは受験せずIELTSのスコアを伸ばそうと最初から決めていました。リーディング、ライティング、スピーキングは英語英文学科の必修科目を真面目に受けていたら自然と伸びていったのですが、リスニングは若干苦戦したポイントです。というのも、IELTSは「世界をリードする英語教育、言語研究機関であるIDP:IELTS Australia、Cambridge Assessment English、British Councilの3団体が共同開発したテスト」*5なので、イギリスのアクセントが少し強めになっています。これが原因で伸び悩みましたが、通学時間を利用したりイギリスのドラマを見たりするなど工夫してなんとか必要なスコアを取得しました。
ちなみに……IELTSは受験料がお高めなので多くの人にとっては何度も受験できるものではありませんが、年に2回行われる学内実施のIELTS*6では、先着20名に受験料補助として1万円が支給されます。執筆者は一度利用しました!

*5 idp IELTS『idp IELTS 日本』アクセス日:2023年9月2日。
*6 年度により異なる可能性があります。2023年度は2回実施される予定です。


執筆者が実際に使用した参考書です。

5. 願書の提出

必要な出願資格を取得したら、学内選考の願書の作成に移ります。願書は志望動機を書くことがメインでした。「なぜその国や大学を志望するのか」を明確にすることが最も重要かと思います!不自然な文章になっていないかは自分だけでは判断ができないので、執筆者は両親に目を通してもらうほか、ライティングセンターで一度見てもらいました。とても改善されたのでおすすめです。


6. ドキドキの面接……

英語圏の大学に出願した学生は書類選考に通ったら面接に進みます。

面接が日本語と英語で行われることは事前に知っていたので、志望動機や留学の経験を将来どのように活かしたいのかを話せるように、ひとりで声に出して練習したり、両親に面接官役をしてもらったりしました。面接当日は当然緊張しましたし、終わった後は「落ちたかな……」と思っていたので、合格の通知が来た時はとても安心しました。

履修したい授業のリストと志望動機

7. ここからが本番!

合格したからもう大丈夫!なんてことはありません。むしろここからが本番です。学内選考試験に合格したことは、留学が決定したことにはならないからです。志望大学に必要書類を提出し、審査を経て受入許可書が届いたら留学が決定します。必要書類には、志望動機(もちろん英語で)や英文で発行された残高証明書、成績証明書などさまざまなものが含まれています。


8. まだまだあります

必要書類を用意するのと並行して奨学金の募集が始まりました。奨学金の併給はできないことが多いですが、併願はできることが多いです。執筆者は学内外合わせて5つの奨学金に応募し、大変ありがたいことにその中の複数から内定をいただくことができました。
この時期、実はかなり大変で……。奨学金はだいたい12月から翌1月にかけて募集がかかるのですが、例年津田塾大学では1月末に年度末試験が行われます。執筆者は教職課程を履修しているため、授業の数が多く、テストとレポート三昧の年度末となり、なかなか忙しい日々を送っておりました。
そして、査証(ビザ)の申請や留学先でのキャンパスライフに関わる手続きが始まります。査証の申請ですが、夏は申請数がピークに達する時期だと聞いたので早めに準備をスタートし、渡航日の2ヶ月半ほど前に発行されました。
キャンパスライフに関わる手続きは複数あり、履修登録もそのうちのひとつです。開講科目のあまりの多さには驚きましたが、津田塾大学との違いも楽しめました。例えば、津田塾大学で開講されている多くの授業は週に1回ですが、ウエスタン・ワシントン大学では授業が週に2−3回あります。また、「waitlist」といういわばキャンセル待ちができるシステムもあります。これは履修したい科目が定員に達してしまいその時点では履修ができなかったとしても、「waitlist」に登録することで、履修を放棄した学生が出た時にその学生の枠に自分が入れるものです。抽選ではなく早い者勝ちなのが面白かったです(笑)。
寮の手続きも同時期に行われます。執筆者が滞在する予定のBirnam Woodという寮は2LDKを想像するとわかりやすいです。1つの部屋につき2人が滞在するので計4人でのルームシェアで、ルームメートは事前に行われるアンケートによって決められます。アンケートの質問は「何時に寝起きするか」や「どれくらいの頻度で友人を部屋に招きたいか」などさまざまでした。留学先での生活をイメージできて、いよいよ!という感じがしてきますよね。


9. 留学を通じた出会いの数々

書類作成・情報収集にあたっては、大学の国際センターや両親のサポートもかなり大きかったですが、それと同じくらい大きかったのは新たな出会いの数々です。昨年12月には、国際センターを通じてウエスタン・ワシントン大学から津田塾大学に来た留学生と知り合うことができました。彼女は今年の2月に帰国しましたが、その後も連絡を取り合いウエスタン・ワシントン大学の施設や現地の様子など情報を常に提供してくれています。嬉しいことに「(執筆者が)渡米したら、現地で会おうね!」と言ってくれました。
さらに、2021年度にウエスタン・ワシントン大学に留学した先輩ともつながることもできたのです!先輩ご自身が留学した時に持参したものをはじめ、寮生活や学業の話をしていただき、とても参考になりました。
余談ですが、津田塾大学の先輩は本当に優しい方が多く、感謝してもしきれません(涙)。
津田塾大学とウエスタン・ワシントン大学の双方に関わった学生と出会えたことは心強く、彼女たちが執筆者にしてくれたことを今後の津田塾生やウエスタン・ワシントン大学の学生にも還元していきたいと思わせてくれました。
新たな出会いはこれだけではありません。

2023年5月頃にウエスタン・ワシントン大学のInternational Student & Scholar Servicesで留学生が自己紹介をする掲示板を作成してくださいました。執筆者や他の留学生は出身国や趣味のほかにInstagramのアカウントを明記することで、連絡先を間接的に交換しあいました。まだ顔を見たこともなければ声を聞いたこともない留学生同士ですが、互いに情報交換することで支え合うことができています。直接会えるのがいっそう楽しみです。


10. アドバイス

留学を検討している方々に執筆者から送れるアドバイスがあるとしたら、

「とにかく早め早めに行動せよ!」

です。
ここまで「まるでなにもトラブルがなかった」かのように執筆してきましたが、実際にはトラブルだらけでした。査証の申請書類にミスが出たり、焦っている時に限ってネットが繋がらなかったり、年度末のテスト勉強をしていたら締め切りを忘れかけたりなどなど。最初から早めに行動していれば焦る必要もないですし、ミスも最小限に抑えることができます。当然と言えば当然ですよね……。けど難しい(汗)。僭越ながら自戒も込めてこのアドバイスとさせていただきます。

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この記事は「留学レポート〜準備編〜」と題していますが、決してマニュアルではありません。留学する国や大学により異なるため常に最新情報をチェックしておきましょう!


Bon voyage!