梅いち凛 ~咲いた津田塾生~

こだわりと人とのつながりで作り出す、『ここに来ると楽しい』空間 Pro-K北島さん

今回の梅いち凛~咲いた津田塾生~は、英文学科3年の北島貴世美さんにスポットを当てます。彼女は、国立市の商店街を中心とした地域活性化に取り組んでいるサークルPro-Kに所属し、カフェ『ここたの』で、スタッフとして活躍しています。
そんな北島さんに、普段の活動やお店のこだわり、そして10月に行われたイベントの様子について、お話を伺いました。
 


『ここたの』ってどんな場所?

津田塾大学から少し離れた、国立市谷保。その団地の一角に、カフェ『ここたの』はあります。名前の由来である「ここに来ると楽しい」のフレーズの通り、ここではコーヒーや季節限定のスイーツ、日替わりランチとともに、ゆったりと楽しい時間を過ごせます。また、定期的にイベントも開催しており、地元の人々にとって、なじみ深い場所となっています。


‐『ここたの』はコミュニティカフェということで、他のカフェにはない魅力があるそうですね。
 
「はい。魅力の一つとして、お客さんと学生の距離が近いところがあります。ほとんどのお客さんは、お店の近所に住んでいらっしゃるご高齢の方なので、毎日のように来てくださいます。スタッフの学生は毎日シフトに入っているわけではないのですが、お客さんの中には、前に話していたことを覚えていてくださる方もいらっしゃるんです!『前こう言ってたけど、今はどう?』『最近、テストも近くて大変なんじゃないの?』と、気を遣ってくださったり、学校であった面白いことを、ニコニコと笑顔で聞いてくださったりします。さらに、お客さんの日頃の話も聞けることがあるので、心にぬくもりを感じています。」
 
「それに、イベントで新しいコミュニティが生まれることもあるんですよ。例えば、趣味や特技を5分くらいで発表する『ここたのナイト』というイベントを、月に1回開いています。そこで、手作りの詩を読み聞かせてくれるおじいちゃんと、まだ小学生にならないくらいの女の子が、とても仲良くなったことがありました。お店以外でも、町のどこかで偶然会うと、お互いに手を振りあうくらい仲が良いんです。『ここたの』を通じて生まれたつながりが、お店の外でも続いていて嬉しかったです。」

‐季節のイベントだけでなく、『親子カフェ』や『認知症カフェ』等のイベントも行っているそうですね。こういった企画は、どうやって思いつくのですか? 
 
「大切なのは、普段来てくださっているご高齢のお客さんとは違う客層に目を向けてみることです。例えば、赤ちゃんを連れているママさん。たまにグループで来てくださるのですが、赤ちゃんがいると、どうしても周りに遠慮してしまうそうです。コーヒーを1杯だけ飲んで、すぐ帰るというのも珍しくないらしいです。そこで、赤ちゃん連れのお客さん限定で『親子カフェ』を開きました。『認知症カフェ』は市役所から後援をいただいている企画で、認知症を患っている方や介護をされている方が、公共の場に行きづらいと思っていると聞いて企画しました。このように、時に市役所の方々と協力しながら、いろんな世代の人に、『ここたの』を知ってもらって、新しいコミュニティの輪を広げてもらえたらと考えています。」

 

「学生がカフェを経営する」ということ

-『ここたの』は学生主体で経営していると伺いました。具体的にどのようなことをしているのですか。
 
「主に、接客やメニュー開発、イベントの企画などをしています。接客では特に『お客さんに楽しんでもらうこと』を第一にしています。やはり、こちらが楽しんでいないとお客さんも楽しめないと思うので。もちろん基本的な接客のマニュアルはありますが、お客さんそれぞれの目的に合わせて動くよう心がけています。」
 
-実際に『ここたの』には、どんなメニューがあるのですか。
「まず、看板商品はコーヒーです。サイフォンで一杯ずつ淹れていて、お客さんとの会話のきっかけにもなっています。それから、季節限定のメニューですね。9・10月には紫いものタルトを出していました。現在はマロンのババロアを販売しています。日替わりランチも、11・12月のものにメニューを変えています。」

9・10月限定で販売された、紫いものタルト

サイフォンで淹れる、こだわりの一杯

-メニュー開発はどのように行なっているのですか。
 
「『ここたの』では、2か月に1回のペースで、ランチやスイーツの新メニューを作っています。だいたいメニューを変える1か月前くらいから、新メニュー開発が動き出します。毎回メニュー開発の担当者を決めて、試作品の味や見た目を、経営会議で確認しています。」
  
-しかしこのメニュー開発には、並々ならぬ苦労があるそうです。
 
「お客さんの目線に立ってメニュー開発をするのが難しいですね。私たち学生の好みと、高齢者の方の好みが違うことがあります。私たちにとってはちょうど良くても、高齢者の方からしたら、味が濃すぎたり、油っぽすぎたりということがありますね。自分たちが好きな味ではなく、お客さんに喜んでもらえるものを考えるのは、なかなか大変です。また、開発した人だけが作れるメニューだとお店が成り立たないので、メニューの難易度を考えるのも苦労します」
 
 -味・見た目・作りやすさ。その全てを考えながらメニューを作るのは、相当骨が折れそうですね。
 
「でもその分、自分が開発したメニューを食べたお客さんに『これ、すごくおいしかった』とか、『これ、どうやって作るの?』といってもらえた時は、本当に嬉しいですね。
常連さんだけでなく、初めて来られたお客さんにも『おいしい』と言ってもらえると、すごく喜んでもらえていると実感します。」
 
-学生中心で、メニュー開発や接客に取り組んでいる『ここたの』。しかし、その経営は、地域の人の協力なしにはできないと北島さんは語ります。
 

学生の力だけでなく、地域の人の協力も、心地よい空間の大切な要素です

「私たちは学生なので、平日の昼間は授業の関係でお店の経営に手が回りません。でも、お店は開けておきたい。そこで、市民の方に有償ボランティアとして、お店を動かしてもらっています。」

「また、商店街の方にもたくさん協力してもらっています。最初、お店を始める時に、店内の装飾や机にお金をかけられず困っていたんです。そこで、商店街の方の伝手を通して、長野県にいる方に木材を分けてもらいました。今でもそのつながりで、長野県の朝日村からりんごジュースを仕入れています。また、Pro-Kで企画したイベントを開催する時にも、商店街の方に協力してもらえるようお声がけをしています。たまに、国立市役所の方ともイベントを行うことがありますが、普段から商店街の方と接していると、自然体でお話しできますね。」

 

気軽に立ち寄って、つながりを広げられる場

-最近のイベントとしては、10 月 30 日、団地内にあるたまご広場で、「ハロウィン in くにたち」が行われましたね。実際に私たちも訪れましたが、お気に入りの仮装に身を包んだ子どもたちが 500 人近くも集まっていて、驚きました。ゲームをしたり、やほレンジャーショーに参加したりと、とても楽しそうで微笑ましかったです。

手作りの看板

好きな色を選んで作ってもらえるバルーンアート

やほレンジャーと笑顔で踊る子どもたち

商店街に愛されているパン屋さんの出張販売

「様々なイベントの中でも、ハロウィンは1年生主体で企画し、内容を考えています。大枠は決まっていますが、細かいところは少しずつ異なるので、毎年違った企画を楽しめますよ。」 


 

 -最後に、『ここたの』が商店街や谷保にとって、今後どんな場所になってほしいですか。

「個人的には、気軽に行くことができる場所、『暇だな……あ、ここたの行ってみよう』と思えるような場所でありたいと考えています。そして、『ここたの』を通じて、お客さんが、今まで関わったことのない人と関われるようになってほしいです。」
 
「『市民のつながり』は、『ここたの』だけでなく、Pro-K全体が掲げているテーマです。だから、自分たちのお店やイベントを通じて、市民の方どうしが今まで知らなかった人と出会って、コミュニティの輪を広げてくれると嬉しいです。そして、『私たち、ここで知り合ったのよ』ってお客さんに言ってもらえたら、とてもありがたいです。」

お知らせ


『ここたの』やPro-Kは、これからもさまざまなイベントを企画しています。
      12/4 旧車祭
      12/10 第4回グローバルカフェ
      12/17 第117回ここたのナイト
    2017年
       1/8 もちつき大会
       1/18 第11回認知症カフェ
       1/21 第118回ここたのナイト

『ここたの』の詳しい情報はこちら human-environment.com/104/
Pro-Kの詳しい情報はこちら www.human-environment.com/pro-k/about/index.html

 

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