Tsuda Tsuda C ~津田塾生のホ・ン・ネ~

TTC #2 - 小平と津田塾、そしてねこ歩き。

 『Tsuda Tsuda C 〜津田塾生のホ・ン・ネ〜』は、編集部員が、学校生活の中で感じるリアルな思いを綴るリレー・エッセイです。今回は、plum gardenの顧問でもある、英文学科言語学専門の郷路先生による記事です。津田塾大学のある小平キャンパス周辺のようすを紹介しながら、そこで出会った可愛らしいねこたちの写真をお披露目します。都会の喧騒から離れたのどかな風景をどうぞお楽しみください(松尾奈々絵/plum garden編集長)

小平キャンパスと、その周辺。

現在の小平キャンパス正門。森の小径を抜けると、ハーツホン・ホールが見えてきます。

津田塾大学は、1931年以来、東京都小平市(当時は「東京府北多摩郡小平村」)にキャンパスを構えています。当時の写真を見ると、大学本館(「ハーツホン・ホール」)は当初、ほとんど何もない野原の中に建てられていた事がわかります。

 
80年以上過ぎた現在、小平は大きく発展しました。しかしながら今でも、津田塾小平キャンパスの周りには、どこかのどかな空気が流れています。大学の裏門を出るとすぐに住宅街。広い空と真っ直ぐな道。高層ビルや、大規模商業施設、夜遅くまで賑わう繁華街などは見当たりません。地方出身の学生は、思い描いていた大都会・東京都のギャップに戸惑うことも少なくないようです。
 

大学裏門を出たところ。商店街などを挟まずに、いきなり住宅地に入ります。

駅へ向かう道の途中には畑があり、その上の広い空がドラマチックな表情を見せます。

遠くの夕焼けまで真っ直ぐ見渡せる道。

津田塾生にとって、大学のイメージは小平という土地と強く結びついています。一方では、武蔵野の美しい自然の中で、落ち着いて勉強に打ち込むことができる環境です。しかしまた一方では、都会の刺激や便利さには少々欠ける側面があります。津田塾生がやや自虐的に、「大学の周りにはなんにもないから」と言うのを聞いたのは一度や二度ではありません。

しかしながら、こういう土地柄だからこそ見つけられる楽しみもあります。僕にとってそれは、「ねこ歩き」です。大学に出勤する道すがらや家に帰る傍ら、道端から顔を出すねこを探すのです。

裏門近くでよく会う子。僕は「タキシード君」と呼んでいる。



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ねこと出会う日々

僕が教員として津田塾大学に赴任したのは、今から5年前でした。それからずっと、電車を使わずに通勤できる範囲で暮らしています。毎日徒歩や自転車で大学に通っているので、通学途中の学生とすれ違うこともよくあります。

 
そして、大学の周りで出会うのは、学生だけではありません。僕の家から大学への通勤経路は、かなりの頻度でねこと出会うゾーンになっています。通学に大学裏門を利用している津田塾生は、あの近辺でよく見かける2匹に見覚えがあるでしょう。 


ぴったりくっつく二人。

路上で出会うねこには、様々な個性があります。ちょっと近づこうとするとすぐに逃げてしまう子もいますし、向こうから近寄ってきてスリスリゴロゴロしてくる子もいます。

こっそり覗き見、いつでも逃げる準備。

赤い首輪のくろねこは近寄っても全然気にしない。

写真を撮ろうとしたら、向こうからグイグイ寄ってきた。

ねこは、陽だまりで佇んでいることが多いです。暖かい太陽の光を求めて家の中から出てきたのでしょうか、車があまり通らない路上でひなたぼっこをしているのを見かけます。 


駐車場にいた、すごく貫禄があったひと。

ものすごく懐っこかった子。撫でていたら眠ってしまった。

自転車道で、夕日を浴びながら毛づくろいしている。



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毎日通る道で、特別何かがあるわけじゃないけど、ふとすれ違う相手がいる。そしていつの間にか「顔見知り」みたいな関係になっていく。僕の場合は相手がねこですが、これが「小平ならでは」なのだと思います。都心の喧騒を離れ、ちょっとだけゆっくりと時間が流れる土地。僕は毎朝、あいつはいつものあそこにいるかな、と、ちょっとだけワクワクしながら大学に向かいます。


路上でお昼寝。宅配便の車がUターンしていった。