わたしと津田塾大学

生理をもっと、オープンに

突然の生理、授業中の生理痛、ナプキンが足りない、頭が痛い、情緒が不安定、生理が来ない……。世の中の多くの女性が生理にまつわる悩みを抱えているのではないでしょうか。また、生理がタブー視されている世の中で、なかなか悩みを打ち明けることができないこともあるかと思います。

今回は、「生理をもっと、オープンに話そう!」をテーマに、以下についてご紹介します。

 1. 津田塾大学の婦人科健康相談医師の協力のもと、生理に関する悩みについてQ&A方式で回答
 2. 津田塾大学で取り組んでいる、生理に悩む学生へのサポート体制


生理に関するお悩みQ&A

生理について、婦人科やウェルネス・センターに相談に行くことは、少し勇気がいることかもしれません。
そこで、生理に関して悩んでいる学生にアンケートを行い、寄せられた10の質問について、津田塾大学の婦人科健康相談医師(東府中病院 里見操緒医師)に回答をいただきました。

※「月経」と「生理」は同じ意味で、「月経」は医学用語として使われています。


Q1. 生理痛やPMSがひどい時とそうでない時の差が激しいのですが、なぜこうなるのかを知りたいです。

A. 実は、PMS*1のはっきりした原因はわかっていません。体調によって毎日体温が異なることのほかに、生理の周期が全く同じとは限らないこと、身体は左右の能力が微妙に異なることで、左右の体を巡るリンパや血管の流れが異なるため、卵巣に届くエネルギーも左右差があるものだと思われます。自然には一般的に左右いずれか片方の卵巣から排卵(卵子が作られ出る現象)をすることで、症状が月により異なるのではないかと思われます。 

*1premenstrual syndrome、月経前症候群。


Q2. PMSの症状が見られるのですが、その対処法を知りたいです。普段は比較的前向きな性格なのですが、生理前になると、気持ちが落ち込む傾向にあります。

A. 生理前には、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの上昇により、身体が水分を溜め込む体質になると言われています。よって見かけ上、血液内カルシウムが低下し、ビタミンEが低下すると言われていますので、サプリメントでそれらを補うと症状改善ができると思います。また、漢方薬や生理前のみ使用するだけでも効果がある薬もあります。


Q3. 生理前と生理中に普段より眠気があるのはなぜでしょうか。どのように対処すれば良いでしょうか。

A. Q2と関連していますが、眠気や体温の上昇は黄体ホルモンの作用によるものと考えられています。眠い時は寝ることがよいと思いますが、それほど時間に余裕はないですよね。薬ですと、ホルモンを調整する作用を期待して低用量ピルや黄体ホルモンの調整薬を使用することがあります。女性ホルモンは自律神経(交感神経)と関連していますので、急に排卵期から高温期に転換したり、高温期から低温期に移ったりしている変化に適応できない時に、身体が反応します。普段から適度な運動をすることも、そのような身体の変化に振り回されない対策の一つです。


Q4. 生理中、特にテストが近い時は、ストレスでより体調が悪くなります。

A. 体に緊張やストレスを感じていると、女性ホルモンの量や自律神経の活動に影響します。寝不足により身体で交感神経の亢進こうしんが起こり、腸の蠕動運動ぜんどううんどうや子宮の伸縮に影響するプロスタグランジンというホルモンが強く出やすいと考えられます。イライラするという状態も、交感神経が亢進こうしんするため影響すると思われます。


Q5. 生理の時におすすめの食べ物はありますか。

A. 月経中は、痛みや身体が冷えることにより、胃の血流が悪くなると考えられ、胃の周りに張り巡らされている自律神経に影響すると思われます。食事に関しては、胃の消化に影響しないものが良いでしょう。チョコレートや乳製品のアイスクリームなどは避けるとよいと言われています。
 

Q6. ピルを使って月経コントロールをしている人はどのくらいいるのでしょうか。いまだに勇気を出せず、使ったことがありません。

A. 中学生以上の方で使用される方は増えてきています。使用時はネットなどで購入せず、病院で副作用の話なども聞きながら処方してもらうのがよいと思います。身体に触れる内診や触診は必須ではありませんが、よい機会なので子宮や卵巣がどうなっているのかを診てもらうことを考えてもよいかもしれません。


Q7. ピルを使用するメリット・デメリットについて知りたいです。

A. メリット
  ・月経周期が安定する
  ・月経痛が改善する
  ・月経血量が多い人は出血量が減る
  ・避妊効果がある
  ・子宮内膜症という炎症が子宮や卵巣にあった場合、病気の進行を抑え、改善が期待できる
  ・月経前症候群が改善する

     デメリット
  ・血栓の発症の恐れ
  ・5年以上の継続使用により、子宮頸がんや乳がんの発症がごくわずかに上昇する
  ・40歳以上の使用はあまり薦められず、年齢制限がある


Q8. ピルが身体に合わないという人もいるようですが、ピル以外に月経コントロールや月経痛緩和の方法はありますか。

A. 確実にコントロールするにはピルが一番よいと思いますが、早めに相談していただければ他の方法を考えることもできるかと思います。月経痛を緩和する薬はピル以外にもあります。


Q9. 生理の日は、激しい運動をしても大丈夫なのですか。

A. 基本的には問題がないと思われます。ただ、月経痛が重い人は、低血圧や子宮収縮による卵管からお腹の中への逆流が起こるので、将来的に子宮内膜症につながる恐れもあるため、無理に頑張る必要はないと思います。


Q10. 学校で急に生理が来た時、生理痛で冷や汗をかき、動けないことがあります。そのような時はどのように対処すれば良いでしょうか。

A. 生理がくることが予測できれば、痛み止めは早めに使用するように勧めています。それができないようでしたら、横になって痛いところに使い捨て
カイロなどを当てて保温し、休むのがおすすめです。
 


津田塾大学でのサポート体制

ウェルネス・センター

津田塾大学の小平キャンパス・千駄ヶ谷キャンパスには、身体についての学生の様々な悩みに対応できるウェルネス・センターが設置されています。ウェルネス・センターでは婦人科による相談体制を整えており、現在、各キャンパスにおいて月2回、婦人科の健康相談を実施しています。詳細については、ウェルネス・センターから毎月配信される各種相談プログラムで確認できます。

 
↓ウェルネス・センターについての詳細はこちらから↓
https://www.tsuda.ac.jp/student-life/support/wellness.html

小平キャンパス2号館2階のウェルネス・センター。医務室、事務室、休養室などがある。

小平キャンパス ウェルネス・センター(2号館2階)
事務室8:30~16:30(昼休み11:15~12:15を除く)、医務室8:30~18:00、
長期休暇期間中8:30~16:30

千駄ヶ谷キャンパスSA209のウェルネス・センター、医務室、休養室。

千駄ヶ谷キャンパス ウェルネス・センター医務室(2階SA209)
9:00~18:00(昼休み13:00~14:00を除く)、
長期休暇期間中9:00~16:30



生理用品を持っていない時は……。

津田塾では、キャンパス内の一部トイレの洗面台付近に無料の生理用ナプキンを入れたカゴを設置しています。また、キャンパスの各所に設置されている救急箱の中にも生理用ナプキンが用意されており、必要な場合は応急使用のため原則として1つもらうことができ、返却は不要です。

小平キャンパス本館1階の女子トイレに設置されている、生理用ナプキン。千駄ヶ谷キャンパスでも同様、各階のトイレに生理用品が設置されている。

医務室に設置されている救急箱。箱の奥に見える、透明の袋に入っているのが生理用ナプキン。

小平キャンパスの救急箱の設置場所。

千駄ヶ谷キャンパスの救急箱の設置場所。

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生理にまつわる学生からの相談Q&Aと、生理に悩む学生に対して津田塾大学が行っているサポート体制についてお届けしました。
みなさんの安心や、「そうだったんだ!」と疑問がスッキリするきっかけになれば幸いです。