梅いち凛 ~咲いた津田塾生~
社会人経験を経て、主体的に学ぶことの楽しさ
多彩な人生経験を持つ社会人を対象にした入試方式で、津田塾大学には2018年5月1日現在、この方式を利用した13人の社会人学生が学んでいます。
津田塾大学で学ぼうと思った経緯を教えてください。
「短大卒業後、入社した商社でさまざまな問題意識が生まれました。問題というのは、男女の雇用の機会の不公平さ、性別や学歴による職場での差別などです。今はもう時代が変わっていますが、育休をとって会社に復帰するのをおもしろく思わない人は、男性だけでなく女性にもいるということも、目の当たりにしてきました。日本社会のこうした問題に対して、色々なことを学び直し、自分の考えを成熟させたい、と考えるようになったのが大学進学のきっかけです。英語を学びたいと思ったのは、子供の頃から好きだった翻訳家の戸田奈津子さんが卒業した英文学科に通訳コースがあったというのが大きかったです。短大時代も英文学科だったので、英語をもっと上達させたいという思いもありました。」
「中学の頃からの長い海外生活を終えて日本に戻ってきて、音楽の大学に進みました。ところが、在学中、ジャズバーのアルバイトのほうに力を入れるようになりました。音大もジャズ系だったので、現場にいたい気持ちが強かったのだと思います。一年で学校を辞めてその仕事を続け、昼夜逆転の生活で体を壊してしまってからは、海外生活で培った語学力を活かして、語学を使う仕事を探しました。最初は韓国語関連の仕事でした。英語も使ってみたいと思って、英語の仕事についたのですが、自信が持てない部分があり、オーストラリアに行って、通訳の資格をとる半年のプログラムを受けました。一生懸命やって、自分のやりたいと思ったことが結果として出て、学ぶのが楽しいと思いました。それで、もっと勉強したいと、大学進学を決めました。」
「公民館で生涯学習に関わる仕事をしていたときに、高齢者が一生懸命に勉強している姿を見ていて、私も年を取ったら勉強したいなと考えるようになりました。英語を勉強したいと思ったのは、国際交流で留学生を家庭に受け入れた際、英語が満足に話せず、深い文化交流ができなかったからです。その後悔から、マルタ島へ短期留学をしました。そこで出会った、自分の意見を稚拙でも堂々と言うヨーロッパの人達にインスパイアされ、私も自分の意見をきちんと言えるようになりたいと思ったことから、英語を学ぶ意欲がさらに湧きました。その後、津田塾大学のオープンキャンパスで、エリザベス女王やビクトリア女王時代の表象についての模擬授業に参加しました。その講義は感動的で、学ぶことの楽しさを実感させるものでした。また、学生さん達の話から切磋琢磨して勉強している様子が見て取れ、好感を持てました。英語はもとより充実したカリキュラムに心ひかれ、津田塾大学への受験を決意しました。」
「子育てが一段落して自由な時間ができて、人生の主役を子どもから自分に戻したいという思いがあったからです。海外で長期間暮らし、離れたところから日本を見つめたいという夢を実現するために、勉強してチャンスを待とうと思っていました。それで、家事をしながら、高校生の息子と一緒に、ライバルのように英語を勉強していました。そんな中息子が留学をすることになって、『羨ましい』と思った私の気持ちを察し、『お母さんも大学行けば?』と言ってくれたのが受験の決め手となりました。」
津田塾大学を選択した理由を聞かせてください。
玉川さん 「高校卒業後に千駄ヶ谷の津田スクール・オブ・ビズネスに通っていたこともあって、大学に行くなら津田塾、と思っていました。50年くらい前なので、袴でいらっしゃる先生もいました。印象に残っているのはpronunciation の授業です。当時、父の仕事の関係で米軍基地のそばに住んでいて、米軍関係者の家にベビーシッターに行っていました。そこで覚えたのがブロークンな英語だったので、学校で話すと話し方をよく注意されていました。」
大野さん 「中学校の頃から英語と言えば津田塾というイメージがありました。翻訳の勉強をしたいと思っていて、副専攻で通訳・翻訳コースがあったことと、英語を基礎からみっちり学べることから津田塾と決めました。しかし、自分の興味がその後どんどん変わってきたので、今は学科横断の多文化・国際協力コースに在籍しています。」
学生生活のなかで感じた津田塾大学の印象は何かありますか。
瀬戸口さん 「社会人でも入りやすい大学だと思いました。津田塾の学生さんは『以前何をしていらしたんですか』、などと単刀直入に積極的に話しかけてくれて、はじめは驚きましたが、今は何の垣根もなく話せます。先生と学生の距離も近いです。」
社会人を経てから学んでよかったと思うことがあれば教えてください。
大野さん 「社会人経験を経て、本当に自分が勉強したいことを考えて、自分で選択する大切さを実感しましたね。これまでの人生経験も役立っています。一年間の音大生時代やジャズバーで働いていたときの経験も、学園祭での椿先生のジャズカフェで活かされています。あの時間も無駄ではなかったって思いました。」
皆さんは入学年度など別々だと思いますが、どのように出会ったのですか。
澤地さん 「若い学生と友達になるのと同じくらい、同じ社会人入試で入学した人とも出会うのを楽しみにしていました。知り合いたくて、必死に探しました。親しくなった学生に、『社会人入試で入った人と同じ授業とったことある?』とか聞いたりして、積極的に声をかけてきました。」
卒業後のビジョンなどはありますか。
瀬戸口さん 「通訳者として働きたいです。私自身が苦労した、ジェンダーギャップが日本の課題なので、女性全体の社会的地位が上がっていくような社会になっていくといいな、と考えています。なので、それに関わる通訳をしたいです。例えば、女性会議の通訳とか、企業通訳になるとしても、女性を応援する企業に入るとか。」
澤地さん 「大学院に進学するか、NPOで仕事したいと思っています。大学で勉強する中でNPOの活動を知る機会があり、興味を持ったので、自分の価値観に合った活動をする団体で仕事ができたらと考えています。」
最後に、社会人入試を考えている人へのメッセージをお願いします。
瀬戸口さん 「人生一度きりなので、迷っていたら受けてみたほうがいいです。」
大野さん 「入学前に思っていた以上のことが学べると思います。いろんな期待をもって入ったのですが、期待以上のことを学んでいます。必修の科目だけではなくて、卒業に必要でない授業でも履修したいです。新しいことを勉強すると、知らないことをもっと知りたい、もっと学びたいっていう気持ちになり、やりたいと思うことがどんどん増えていきますよ。」
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