わたしと津田塾大学

わたしと津田塾 #20 - 「津田塾を支える食の番人」

佐藤 公司さん (日産給食 津田塾大学店 店長)

食は元気の源。日々、勉学やサークル活動に励む学生たちには欠かせないものです。
今回の『わたしと津田塾』では津田塾生の「食」を支える学生食堂で働く、日産給食津田塾大学店 店長の佐藤公司さんにお話を伺いました。

 


佐藤広司さん

毎日、学生をあたたかな笑顔で迎えてくれる佐藤さん。大学との関わりと日々のスケジュールを教えてください。

津田塾大学に初めて着任したのは21年前。その後数年間他大学で勤務し、7年前に戻ってきて現在に至ります。

スケジュールはみなさんびっくりするかもしれないですよ(笑)。
朝5時半に出勤、5時50分には厨房に入って、お湯を沸かすなどの作業を9時30分まで一人でしています。いかに効率よく作業を進めるかがその後の調理のカギとなるので、この時間は分刻みで動いています。お米は3升を1日に8から10回炊きます。炊き立てを皆さんに提供したいという思いから、その都度用意するようにしているんです。天候や気温に合わせて、その日のメニューや準備する個数を変更することもありますね。そして10時に営業を開始してから終了する18時30分まで、自分の昼食をとる30分間以外はずっと厨房に立っています。1日の営業が終了して18時30分すぎに退勤という生活を、平日は水曜を除いて毎日続けています。

腕を振るう佐藤さん

驚くべきスケジュールで仕事に打ち込まれている様子。学生食堂で働くやりがいは何ですか。

やはり、「ありがとう」「いただきます」「ごちそうさま」という言葉をいただくことですかね。お会計の時や食器を返却する時に学生の皆さんからその言葉を聞くと、とても嬉しい気持ちになり、元気が湧いて来ます。
「課題が大変だ」といったような話を学生さんから聞くのもいいブレイクタイムになっています。


熱く語る佐藤さん

津田塾生の印象をお聞かせください。

昔の学生は本当に超真面目で古風といった印象でしたね。良くも悪くも東京に染まっていないという感じでしょうか。黙々と課題に取り組んでいる姿がよく見受けられましたね。それと比べると最近の学生は随分と現代的になったように思います。情報が簡単に手に入る時代になったことで、だんだんと都会慣れしてきているのでしょうね。

ただ、食器を返却するときに「ごちそうさまでした」という言葉が自然に出てくるのは今も昔も変わりません。津田塾生の律儀な面が表れているのではないでしょうか。

TFTプレートをほおばる学生

気になるメニューについての裏話も語ってくださいました。

基本的には、女子大だからと言って極端にヘルシー志向に走るのではなく、低価格でお腹がいっぱいになるメニューを提供するように心がけています。学生さんの意見を取り入れることもありますね。例えば学生たちのサークルと共同開発したTFTプレート(TFTプレートに関する過去記事もぜひご覧ください)。昔はオムライスの中がチキンライスだったのですが、「カロリーが気になる」という声を受けて雑穀米のオムハヤシに変更しました。
厨房が改修される2年前までは、食堂の入口に意見箱が設置されていたんですよ。味の濃さに関することなども、そこで学生さんからの希望を聞いて応えるようにしていました。実際に投票を行って、ラーメンの麺を細麺からちぢれ麺にしたこともありましたね。最近はなかなか時間と場所の折り合いがつかなくて、できていないのがもどかしいですが。
また設備面でいうと、2年前にホットレーン(保温機)が導入されたことであたたかいおかずをそのまま提供できるようになり、好評をいただいています。

現在の食堂の名物ともいえる『から揚げ』についても伺いました。

人気メニュー、から揚げは1個70円。

学生に人気のから揚げ。おいしさの秘訣は何ですか。

本当に何も特別なことはしていないんですよ。前日の夕方に、鶏肉を一からカットしてそれを醤油、酒、砂糖とニンニク、ショウガでできたタレに漬け込んでおく。そして次の日に揚げる、これだけです。ただ、揚げるときの温度はポイントかもしれないですね。165度。これを徹底することでカラッと揚がります!揚げたてのから揚げは本当にもう絶品ですよ。一度食べたら忘れられないくらい。毎日約400個、1回20個を大体20回揚げて、販売しています。
ちなみに大体夕方17時ごろが1日の中では最後に揚げるタイミングなので、揚げたてのから揚げを食べたい方はこのぐらいの時間にのぞいてみるといいかもしれません。

最後に津田塾生にメッセージをお願いします。

ライフスタイルの多様化とともに食の「かたち」も変化してきています。勉学に集中したいときは夕飯として利用したり、家でおにぎりを握ってきたときはサラダやおかずだけ買ったり。学生さんたちの生活に合わせて、上手に食堂を活用してもらえると嬉しいですね。

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学生と共に発展を遂げる学生食堂を取材して感じたことは、あくなき向上心と津田塾大学に対する愛情の深さ。
過去から現在まで長きにわたって津田塾生を見守る佐藤さんは、まさに「食の番人」と呼ぶにふさわしい凛とした佇まいで語ってくださいました。
今年4月に生まれ変わった食堂には、学生たちを第一に考える多くの方の思いが込められています。

2回にわたってお届けした食堂特集、いかがでしたか。食に関する記事を通して皆さんの生活にあたたかみをもたらすことができていたら、私たちもとてもうれしいです。この記事を読んで食堂に向かうと、いつもとはちょっと違ったあなただけの「食堂の魅力」を見つけられるかもしれませんね。