わたしと津田塾大学
いま、女子大学を選ぶわけ。‐女子大学に通う学生のホンネ‐
時代の変化とともに、女子大学の共学化や募集停止といった変化が続く今、「女子大学で学ぶ意味」があらためて見つめ直されているのかもしれません。
そもそも、なぜ女子大学は存在するのでしょうか。
帝国大学令制定(1886年)当時、大学入学資格者は旧制高等学校卒業者とされていました。旧制高等学校は、男子学生のための教育機関です。つまり、制度の構造上、女子が大学へ入学する道はありませんでした。その後、女子高等師範学校や女子英学塾を含めた私立女子高等教育機関が生まれると、一部の帝国大学では、例外的に女子が入学するようになりました。大学令(1918年12月6日公布・1919年4月1日施行)により、私立学校が大学を設置できるようになると、女子への教育の門戸を開く大学も出てきます。しかし、実際は旧制大学へ進学する女子はごくわずかであり、高等教育を希望する場合、女子専門学校や女子高等師範学校に進学するケースが大半でした。戦後、学校教育法が施行され、旧制の女子専門学校、女子高等師範学校等が新制大学に昇格したことで女子大学が誕生しました。時を経て、現在では女子大学が設置された当時の状況とは異なり、大学進学率における男女差はかつてほど大きくはありません※1。
そういった時代状況の中で、いま、女子大学を選ぶわけとは。
今回の企画にあたり、2025年12月に、津田塾大学の在学生を対象にしたアンケート※2を実施しました。本記事では、女子大学を選んだ理由から、大学生活の実態に至るまで、津田塾生の本音に迫ります。女子大学か共学、どちらに進学しようか迷っている高校生のみなさんが進路選択をする際の参考にしていただければ幸いです。
※1男女平等参画局『Ⅰー4ー1図 学校種類別進学率の推移』<I-4-1図 学校種類別進学率の推移 | 内閣府男女共同参画局>アクセス日:2026年4月5日
※2アンケート回答者の学科名は次のように省略しています。(英語英文学科→英英、国際関係学科→国関、多文化・国際協力学科→多文化、数学科→数学、情報科学科→情報、総合政策学科→総政)
まずは、共学ではなく女子大学に進学した理由を教えてください。
- 女性学など、女子大学ならではの授業があるから。(英英1年)
- 少人数制で、手厚い指導を受けられると考えたから。(総政4年)
- 合格した大学の中で、やりたいことが一番できそうだったから。(国関1年)
- 少人数制、グローバルな環境といった特徴に加え、異性の目を気にしなくていいので自分の意見が言いやすいと考えたから。また、高校の先生から、自分に合うのは女子大学だろうと言われたため。(国関3年)
- 勉強だけに集中できる環境が整っていると思ったため。また、女性しかいない環境に身を置いてみたかったから。(情報4年)
- 「この先生のもとで学んでみたい」と研究内容に強く惹かれる先生がおり、ここでなら自分の興味を存分に深められると感じたことに加え、女子大学ならではの安心感や、互いに刺激し合いながら学べる雰囲気にも期待したため。(多文化4年)
【学習面】女子大学における学習環境(授業、セミナー、研究、教員やクラスの雰囲気など)に、女子大学ならではの特色や利点、欠点と思うことがあれば教えてください。
- 少人数クラスが多い。津田塾生のほとんどは真面目。高校時代よりもグループワークでリーダーシップをとる機会が増えた。一方、大規模な総合大学と比べて研究力(設備や学術論文数など)は高くないように思う。(総政4年)
- 女性に関する社会問題を学ぶ機会(女性学の授業など)が多いが、女性の立場からの意見が多く、男性視点の意見を聞けることが少ない。(国関1年)
- 女性研究者支援センターなど、女性を支援するような場所がある。(英英1年)
- 女性に関する社会的なトピックに関心をもつ人が多い。セミナーの雰囲気が温かく、異性からの偏見を気にせず議論できる。学長が女性で、教員の大半が女性なのは珍しい。時々開催される講演会で、社会で活躍されている女性の話を聞くことができるのはとてもよい。(国関3年)
- 数学やプログラミングの授業では、教え合ったり助け合ったりする雰囲気がある。一人で解きたい人も、途中まで自力でやりたい人も全員が尊重されている。発表の機会がとても多いが、女性しかいないうえ少人数なので、発表が苦手な人でもハードルが低く殻を破りやすい。(情報4年)
- 女子大学での学びを通とおして、「男性に頼らず、自分たちの力で課題に取り組む」という経験の大切さを実感した。普段の授業でも積極的に発言する機会が増え、自分の考えを整理して表現する力が養われたと感じる。一方で、欠点を挙げるとすれば、同じ環境や近い価値観の中で学んでいると、思考が凝り固まりやすくなるように思う。(多文化4年)
【生活・人間関係面】学生生活における人間関係について、共学との違いや、男子学生がいないことによる利点、欠点と思うことがあれば教えてください。
- 高校までは共学だったが、女子大学との人間関係の違いを感じることはない。親戚からは、「女子大学に通っている=彼氏いないよね」と言われた。(その通りではあるが笑)(総政4年)
- 恋愛絡みの人間関係のこじれが少ないと思う。そのため、勉強に専念しやすい環境だと思う。(国関1年)
- メイクをしていなくても、何を着ていても、誰も何も言わない。結果として、他者からの評価のようなものに関心をもたなくなる。(国関3年)
- サークルや部活での役割分担の際に、性別による分担をされないことが嬉しかった。女性特有の悩みがあっても、周りを気にせずその場で話しやすい。男子学生との出会いは、学外で自分から行動しないと無いのが欠点。(情報4年)
- 女子大学には心理的な安心感があり、発言に対するハードルが低くなると感じている。そのため、授業やグループワークでも互いに遠慮なく意見を出し合うことができ、深い信頼関係や協力関係を築きやすい環境だと思う。また、同じ立場の仲間と将来のキャリアやライフプランについて相談しやすく、女性教員や先輩との距離も近いため、気軽に助言をもらえる点も大きな利点と考えている。(多文化4年)
【就職・進路面】就職活動や進路選択において、女子大学であることが有利、あるいは不利に作用したと思うことがあれば教えてください。
- 留学、大学院進学、就職セミナーの講師が女性であり、ロールモデルが身近にいるのは利点であると思う。(英英1年)
- 女子大学出身だからという理由で評価されることはなく、在学中にどれだけ学問や課外活動に全力で取り組んだかで評価された。大学名から「優秀だね」と言われることはあった。(総政4年)
- 有利・不利に作用したことはないが、就職活動をするにあたって、女子大学に通っているからこその視点をもって臨むことができた気がする。女性学などの授業を受けたことによって、女性が働きやすい環境について自分の考えをもつことができた。また、高校(共学)の時は、理系分野だと男子のほうが成績がいいうえ、理系クラスは男子が多く圧倒されていた。しかし、女子大学では、大学院進学を考えるにあたって懸念する点はなく、固定観念に囚われず挑戦しやすかった。(情報4年)
- 不利に働いたと感じたことは特になかった。むしろ、学びの環境や支援体制、そして卒業生の活躍が後押しとなり、安心して就職活動に取り組むことができた。津田塾大学の卒業生には、海外で活躍されている方や社会で幅広く活躍されている方が多く、大きな励みとなった。女子大学であること自体よりも、津田塾生の真面目さや努力する姿勢を評価してくださる企業が多くあった。(多文化4年)
最後に、女子大学か共学、どちらに進学しようか迷っている高校生にメッセージをお願いします。
- 「女子大学=ほんわか」しているわけではありませんせでした。しっかり勉強できるのでおすすめです。(英英1年)
- どのような大学生活を送りたいか、大学で何をしたいかを考え、それに合うほうを選択するとよいと思います。(国関1年)
- 彼氏ができるかどうか心配される方がけっこういる印象ですが、彼氏がいる学生も多く、女子大学だからできないというわけでもないです。出会いの機会は減るかもしれませんが、不安にならなくても大丈夫です。男女別体育の授業や女性だけの空間が苦手だったなどなければ、きっと女子大学で楽しく過ごせると思います。(英英1年)
- 社会には女性にとって不自由な現状がある中で、女性だけの環境で高等教育を学び、人の目を気にせず議論し合い、切磋琢磨していくこと、女性のロールモデルを見て育つことは、女子大学でしか経験できないことです。(国関3年)
- 女子大学と共学で迷っているのなら、女子大学をおすすめしたいです!女性しかいない環境ではありますが、十人十色で、それぞれの方向で輝いていて、尊敬できる仲間にたくさん出会えました。(情報4年)
- まず「自分が大学で何を学びたいか」、「どんな環境で成長したいか」を考えることをお勧めします。女子大学には、同じ立場の仲間と安心して意見を出し合える環境や、女性教員や先輩との距離が近く、将来のキャリアについて相談しやすいという利点があります。また、異性の目を気にせず自分の考えを整理して表現する力や、協力し合いながら課題に取り組む力を伸ばしやすい環境でもあります。一方、共学では男女の多様な価値観や考え方に触れる機会が多いという利点があると思います。(多文化4年)
おわりに
本記事では、学業から就職活動に至るまで、女子大学で学ぶ津田塾生の実態に迫りました。ところどころの回答に、女子大学というよりも津田塾大学としての回答もありましたね。学生の本音から、女子大学に対してどのような印象をもたれたでしょうか。やはり、女子大学には女子大学特有の環境があるようです。それぞれの回答から、「いま、女子大学を選ぶわけ」がうかがえたことでしょう。
女子大学と共学、どちらが自分に合っているのかは、大学で何を得たいのか、どういった環境に身を置きたいのかで変わります。進路に悩める高校生にとっての最善の道が見つかることを願っております。
参考文献
・文部科学省『六 戦後の教育改革』〈https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/others/detail/1317571.htm〉アクセス日:2026年4月29日
・UTokyo『資料1:日本の女子高等教育の歴史』〈https://www.u-tokyo.ac.jp/kyodo-sankaku/ja/activities/model-program/library/UTW_History/Page05.html〉アクセス日:2026年4月29日






