梅いち凛 ~咲いた津田塾生~
仕事も育児も諦めない! ーインターンで考える将来ー 黒宮明里さん
第15回の「梅いち凛」は、国際関係学科1年の黒宮明里さんにスポットを当てます。黒宮さんは今年度の第2タームから、「LAXIC(ラシク)」というウェブメディアのインターンとして記事の執筆を行っています。LAXICは、仕事も育児も両方頑張るワーキングママ(ワーママ)やワーキングパパ(ワーパパ)のための情報を数多く掲載し、その頑張りを応援しているサイト(http://laxic.me/)です。今回はインターンでの苦労や収穫、LAXICへの熱い想いを中心にお話を伺いました。
—まずは、「LAXIC」のインターンに参加したきっかけを教えてください。
「自由に学べる第2タームで何をしようか考えていた時、まずは大手企業のインターンに応募してみたんです。でも落ちてしまって。どうしようと思って本館の掲示板を見ていた時に、LAXICのインターンに出会いました。私は将来働いて結婚をしても、自分で収入を得ていきたい。バリバリ働きたいんです。養ってもらうよりも、夫婦両方の収入で暮らしていくのが理想ですね。だから、仕事と育児の両立について知りたいなぁ、記事を書くのも楽しそうだなぁって思って、そのまま飛び込んだ感じです。」
「6月後半に行われたオリエンテーションでは、津田塾の学生が7人くらい集まって、企画班とインタビュー班に分かれました。企画班は仕事や育児に関するアンケートの作成と集計、インタビュー班は仕事と育児の両立ができている人や、自分なりのライフプランを考えている人に取材をします。私はインタビュー班に入って、そのリーダーになりました。その頃は津田塾に入学して少ししか経っていなかったので、自分はこれからどう成長できるんだろう、色んなことに積極的に取り組んでみようっていう気持ちが強くて。だから立候補したんだと思います(笑)。」
—1年生でありながら果敢にリーダーを務めた黒宮さん。さまざまな苦労があったようです。
「あるインタビューの対象者を決める時、候補に主夫の方を挙げていたんです。その方は保育園の送り迎えやママさん会に参加した時の様子を、ブログで頻繁に綴っていらっしゃる方。是非お話を聞いてみたい!と思って問い合わせてみたものの、全然返信がなかったんです。期日は決まっているのに、私もいろいろと立て込んでいて、返信がないことも先方のせいにしてしまっていました。すると、担当の社員の方が『ちょっと返信遅いですね。催促のメールをしてみましょうか?』と声をかけてくださって、その時やっと我に返って。リーダーとして全体に目を配り、次の候補を探さなきゃいけなかったのに、と反省しました。」
「その他に大変だったことはアポ取りですね。依頼書の作成がとにかく大変で、自分の思いをことばにするのが難しかったです。あとは目上の方へのメールの書き方。最初は津田のOGである社員の方からのメールや、学外学修センターから送られてきたメールの書き方を参考にしていました。でも、このインターンのおかげで、言葉づかいやホウレンソウ(報告・連絡・相談)の大切さを実感することができました。リーダーをやって良かったです。」
—苦労した分、インターンならではの魅力に触れたり、記事をリリースした時の反響が大きいと嬉しいですよね。
「そうですね。やっぱり、実際に働く人のやり方を近くで見ることができるのは勉強になります。社員の方の取材に同行させていただくと、インタビュー中に内容を打ちこみつつ、質問や要約も完璧にできているんです。本当に仕事が速くてびっくりします。あと、いつもアンテナを張ってトピック探しをしていらっしゃるんです。『こういう社会問題があるけど、どう思う?』『学生ならどう考えるかな?』って投げかけてくださるので、私もニュースや社会問題について知っておきたいと思うようになりました。」
「記事を出した後、それを読んだ友達が『え、これ書いたの?』って驚いてくれたり、役に立ったって言ってくれました。ウェブ上の"いいね!”が1000ちょっとついていたことも嬉しかったです。ただ1つ難しいと感じているのが、記事の拡散方法ですね。今は自分から『友達に読んでみて!』と言わないと、なかなか読んでもらえないので。知名度をなかなか上げにくいです。せっかく頑張ったのに、読んでもらえないと書いた意味がないと思うので、日々模索中です。」
「それから、インターンと授業の内容がつながることもあります。第1タームで受講した女性学の授業で、女性の再就職について学習しました。講義だけではなく実践としてインターンに参加することによって、腑に落ちたような気がします。1年セミナーで女性の働き方について学んだ時も、自分の意見を話したら、『詳しいね』と先生が褒めてくださったことがありました。自分が得た情報を吸収して、ちゃんと自分の意見にできていたことに気づいて嬉しかったです。無駄じゃなかったなって。」
—インターンを通して、仕事と育児の両立についての考えは変わりましたか?
「以前はふつうに両立できるだろうっていう勝手な自信がありました。でも、インターンで現状を知るうちに、それはとても難しいことだと気づいたんです。私の勝手な想像は打ち砕かれましたね。あぁ無理なのかな……って思ったけれど、総合政策学部客員教授の村木厚子先生にインタビューした時に、とても印象に残ったエピソードがあって。官僚でいらした頃の子育てについて伺った時、保育園の後もシッターに預ける二重保育をして働いていらっしゃったそうなんです。仕事にやりがいがあって楽しくて、生涯ずっと働き続けたいっていう強い想いのもと、お仕事されていて。それを聞いて、想いがあれば両立もできないことではないから、諦めないんでいいんだって思えました。漠然とした希望はなくなったけれど、現実的に考えられるようになったっというか。ガッツがあれば絶対できるんだと感じました。自分が結婚して子供を産んで、仕事も子育ても大変になって辞めたくなることはあると思います。でも何かしら方法はある!って考えて頑張りたいです。」
—最後に、LAXICへの熱い想いを語っていただきました。
「世の中には、フルタイムでお仕事をして、ご飯を作って掃除をして育児もして…とやることが多くて大変なお母さんが多いんですよね。『ワーママ』をネットで検索すると、『ワーママ つらい』『ワーママ もういやだ』なんて、ネガティブワードがずらーっと並ぶんですよ。LAXICはそんなお母さんたちの悩みやアドバイスを共有する場所なんです。私は、今の大学生が将来、自分で抱え込んで仕事を諦めてしまわないように、LAXICを通じて、まずワーママについて知ってほしいです。こういうやり方もあるんだって気づいてほしいです。津田塾にも『変革できる女性になろう』、『女性はもっと外に行こう』っていう雰囲気があるじゃないですか。それに背中を押されて、社会で頑張っていこうと考えているけれど、実際にどうしたらよいか分からない人も多いのではないかと思います。友達同士で集まっても、結婚したい、子どもが欲しいって話はするけれど、育休をどうするかなんて話はしないですし。だから具体的に考えられるように、どんな問題があって、どんな風に工夫している人がいるのかを先取りして知ることで、今後に役立ててほしいなと思います。」
黒宮さんがインタビューされた村木先生の記事はこちらからご覧いただけます。