つだラボ

つだラボ #14 - カメラで遊ぼう!〜スローシャッター編〜

身近になったカメラ

「カメラ女子」という言葉を耳にしたことはありませんか? 街歩きや、旅行先で、カメラ、特に一眼レフを持つ女性が増えたように思います。以前よりもコンパクトになって持ち歩きやすくなったこと、「インスタ映え」を意識して、画質の良い写真を撮りたいという気持ちが強くなっているためかもしれませんね。
 
「カメラ女子」の一人である筆者は、ある時ネットの記事で一風変わった写真を見つけました。それは、「スローシャッター」と「二重露光」です。撮影の時は設定をオートモードにしていることが多いと思いますが、カメラの機能を工夫することで、とても幻想的な写真を撮ることができます。
 
今回は、夜の小平での「スローシャッター」と、夏の小平キャンパスで最新チェキを使って「二重露光」に挑戦した様子を前編・後編に分けてお伝えします。
 

スローシャッターとは?

「スローシャッター」は、夜などの暗い環境の中で、手持ちではブレてしまうような長いシャッタースピードで、三脚に乗せて撮ります。スローシャッターを使うと、光を取り込む量が増えるので、暗いところでも綺麗に写すことができます。
暗いところで撮影すると、被写体がブレることがあります。それは、シャッタースピードが遅くなったせいで、シャッターが開いている間に被写体が動いてしまうからです。なので、わざとシャッタースピードを長く設定すると、動く被写体はどんどん大きくブレていくことになるのです。最終的には、動く被写体の輪郭が全部消えて写らなくなります。これを利用し、オートモードで撮影した普通の写真とは一味違う、光が綺麗に写った幻想的な写真が生まれるのです。

本編は、大きく3つのセクションに分かれていて、だんだんシャッタースピードが長くなっていく構成です。最初は、暗いところで明るく写すだけ、次に半透明、最後に輪郭を全部消したもの、となっています。
 
 

魔法使い、現る

授業が終わって学生も帰り、静かになった夜の小平。そこに魔法使いが!

まずは、暗いところで綺麗に写真を撮ってみました。



見慣れた本館の廊下に、魔法使いが現れました。




床にプロジェクターで魔方陣を投影し、その上で撮影をします。(参考にしたページはこちら:http://portal.nifty.com/kiji/170516199633_1.htm)昼間に写真を撮る時よりも遅い、シャッタースピード1/5という設定で撮影しました。かつて魔法使いの映画や、ゲームの世界に憧れを持った世代である編集部員たち。その世界観に入り込み、ノリノリで魔法使いになりきっています。

 

幻獣を召還しよう!

杖を使って幻獣を召喚する写真を撮ろう!
シャッターが開いている最中で被写体がフレームアウトすると、半透明に写ります。これを利用すると、半透明の幻獣を召喚することができます。用意するものは杖とマント。そして白い板とプロジェクター。先ほどの魔方陣のシャッタースピードよりも遅くして撮影します。

 

(1) 白い板に出したい絵をプロジェクターで映し出し、シャッターを切ります。(2〜4秒)
(2) 絶妙なタイミングで板を外すと、板は写真に写らず、板に投影されていた画像だけが半透明に写ります。この、「絶妙なタイミング」が難しく、何度も何度も撮りながら見つけていきます。
(3) できあがり。
 
まずは4秒で実験。板が少し写ってしまいました。シャッタースピードが長すぎると、写真が明るくなり、綺麗に透けてくれません。
 

板が透けてしまいました。

何度も繰り返して、ちょうどいいシャッタースピードと板を外すタイミングを探っていきます。トライアンドエラーの繰り返しです。

ワシが綺麗に召喚されました!

可愛らしい猫も。

見事、幻獣が召喚されました。
みなさんは教室で魔法を使ってはいけませんよ。

 
この半透明写真のサンプルは、自宅でもどこでも簡単に撮ることができます。カメラを机の上に置き、レンズの前に手を出します。そして、タイマーでシャッターを切り、シャッターが開いている間に手をどければ、それだけで半透明の写真ができるのです。


この光の正体は?

日が沈んで暗くなった頃、小平市某所の丸ポストに集合。
今度は、さらにシャッタースピードを遅くし、もはや先ほどの半透明どころか、輪郭が完全に消えた写真を撮ります。

 

シャッターを押すタイミングを計ります。

三脚を立て、道路に向けてカメラを構えます。今回は光の量を少し減らすためにNDフィルター(減光フィルター。レンズに入る光量を調節する、サングラスのようなもの。)を使用しました。スマートフォンで時間を測りながら、シャッターを切ります。

 

最初の写真では、動いている車が透けてしまっています。シャッタースピードが短かったようです。


次は、シャッタースピードを8秒に設定。まっすぐな光は、すべて車のライトの跡なのです。

信号で車が止まると交通量が減り、動いている車の光の量が減ってしまうので、車側の信号が青になった瞬間を見計らってシャッターを切ります。交通量が多ければ多いほど、光の跡が多い写真になります。

 

次は、シャッタースピードを1分に設定。
2枚目の高い光は、大型トラックの光でしょうか?
 
顧問の先生に手伝ってもらい、通りすがりのおまわりさんに怪訝そうな顔をされながら約1時間。いつもの小平とは全く異なる風景を写真に収めることができました。小平の交通量でこの光の量なので、都心で撮影したら、さらに面白いものができそうですね。
 

 

カメラを通して、日常を変化させる

スローシャッターで撮影した場所は、すべて津田塾の小平キャンパスや小平市内の道路といった、津田塾の学生にとっては見慣れた風景です。「スローシャッター」という技法と、光を利用することによって、日常とは異なる風景が生まれるのです。さらに、普段は魔法なんて使うことのできない私たちでも、カメラを使えば、誰でも魔法使いになることもできるのです。

カメラ任せでも綺麗に撮れるオートモードで撮影することも楽しいですが、少し背伸びして新しい撮影に挑戦してみませんか。
後編はチェキでの撮影を取り上げます。そちらもお楽しみに。