梅いち凛 ~咲いた津田塾生~
人と人をつなぐ面白さ−染谷紗恵子さん
ひょんなことから国際協力の道へ
- いままでのイメージとは異なる形での服飾への関わり方、そして国際協力に興味を持ち始めた染谷さん。津田塾への入学を機に、チカウニと出会いました。
チカウニでの活動、ペルー訪問
「国際協力のサークルなので幅広い地域での活動を想像していたのですが、実際の活動は地元密着型で、小平市のイベントをメインにしていて、最初はそのことに驚きました。小平市だけじゃなくてもっと都会のイベントに参加すればいいのに、と思いました。でも、二年生になって、私が小平市の人との連絡をとるようになり、地域の人たちと話す機会が増えてからは、ローカルな人と人とのつながりの重要性を感じるようになりました。国際協力というとすごく広い領域で考えがちですが、そうではなくて、小さな地域にポイントを絞った活動も、つながりが密になって魅力的だなと。イベントの際もイベントに来たついでに気軽にブースに来て話しかけてくれる人もいて、商品を買わなくても話を聞いてくれる機会があります。それがローカルな地域で活動する強みです。」
「チカウニで扱っているペルーの商品は、生地が特徴的だったりして日本にすぐになじむものではないので、販売がうまくいかないこともあります。そういうときは参加するイベントの見直しはもちろん、商品の見直しもします。例えば、白と黒のトートバックを売るときに、年齢層が高めの小平市のイベントでは、白だと汚れが目立つという理由で黒の方が人気です。そういった意見やチカウニのメンバーで話し合った意見をムヘレスの人に伝えています。年に一度、ムヘレスとチカウニを繋げている日本人女性と商品会議も行っています。」
「最初にペルーの首都リマに着きました。ショッピングモールや有名ブランドのお店もあって、思っていたよりも日本の都会とあまり変わらない印象を受けました。驚いたのは、二日目にムヘレスのいるカラバイヨへ行ったときです。首都の栄えているところから車で一時間ほど行っただけで、それまではホテルやビルが並ぶ観光地だったのが土っぽい雰囲気になって、屋根のない家もありました。屋根を作るのにお金がかかるので、貧しい人は屋根を作らないそうです。中心部から少し行っただけでそんな風になっていることに驚きました。どうして一部は裕福なのにそのすぐ隣にはその恩恵を受けられない人がいるんだろう、と疑問に思いましたね。」
「ムヘレスの住むカラバイヨは治安の悪いスラム街と聞いていたし、チカウニで説明するときも『スラム街』という言葉を使うのですが、実際は昼間はそこまで治安も悪くなくて、思っていたスラム街のイメージとは違いました。ムヘレスの人たちに会った時は、編み物をしているのが楽しそうで、その様子を見て、この人たちの商品を普段売っていたのだなあと思うと嬉しかったです。ムヘレスのメンバーは編み物が好きだそうです。それに、男性優位な社会であるペルーで、女性たちが男性たちと同様に仕事を持つことで、女性たちの自信や自尊心に繋がっているという話を聞きました。単に募金するよりも、この商品を売ることが彼女たちにとっていい方法なのだな、と改めて認識しました。」
代表として、そして“新しいチカウニ”とこれからの自分
「代表になってからは、マネジメント的な部分での苦労が多いです。というのも、ありがたいことに今年は例年の二倍くらいの新入生が入ったので、部員同士の交流を図ることと、ミーティングのときにみんなの意見をいかに吸い上げるかということが難しいです。ミーティングに参加しているのに、そこに『いるだけ』になってほしくなくて、班分けをして少人数で話し合う機会を設けて発言しやすくしています。チカウニがやっていることは経営に近いけど、あくまでもサークルなので部員の自主性にかかっています。だけど、国際協力という派手で大規模なイメージと、地域のイベントの話し合いなどの地道な活動とのギャップもあって、わかりやすい達成感を感じにくいのです。」
「実際に、私が一年生のときに私以外の同期がみんな辞めてしまいました。でもせっかく興味を持ってくれたのなら、“なんとなく”でやめて欲しくないんです。なので今年は、いままで以上に色んな活動を試みたり、部員一人一人に役職を持たせたりして工夫しています。そして、最終的にペルーへ行って自分たちのやってきたことの意味を感じてほしいと思っています。」
「今年は意欲があり自発的に動く後輩が多くて、色んなことを試みています。勉強会を開いて部員内で知識を共有したり、ネット販売もできればと考えています。新しく試みていることの中で一番大きいのは、株式会社イオンさんにフリースペースを借りて、商品を販売する計画です。イオンさんがフェアトレードや学生支援にも力を入れている企業というのを耳にしたことがあったので、自分たちもこれを機にやってみようと思いました。そこでは、自分たちの手作りのピアスやドリームキャッチャーなども扱う予定です。単に募金などで向こうの支援をするのではなくて、自分たちの勉強にもなるという関係がベストだと思います。また、その立ち上げたシステムを一回きりではなく、継続的に活用できるように頑張りたいですね。」
- チカウニでの活動、他にも様々な活動を通して「国際協力」だけでなく、そこから広がって他のことにも興味を持ったという染谷さん。最後に今後の自分についても含めてお話を伺いました。