キャンパスレポート

キャンパスレポート #21 - 2016年8月 「オープンキャンパス特別号」

真夏のオープンキャンパス

在学生のスタッフが壇上に上がり、大学紹介を行います。

夏休みに入って閑散としていた小平キャンパスも、この日ばかりは賑やかさを取り戻します。今年も真夏のオープンキャンパスがやってきました。

今月のキャンパスレポートは、「オープンキャンパス特別号」と題して、8月13・14日に行われたオープンキャンパスの様子をお伝えします。

 

学生スタッフの活躍

「在学生との懇談コーナー」の様子です。

津田塾大学のオープンキャンパスには、おそろいのピンクのTシャツを着た学生スタッフが多数参加します。学生スタッフは、「在学生による大学紹介」セッションに登壇したり、「在学生との懇談コーナー」で参加者と個別に話したり、「キャンパスツアー」でガイド役を務めたりしています。

会場入口の受付も学生スタッフが担当。

現役学生のスタッフに、一対一でいろんな話を聞くことができます。

会場のあちこちに笑顔が溢れます。

入試や学生生活などについて、詳しい話が聞けます。

学生スタッフには、様々な学科・専攻の津田塾生が揃っています。今回のオープンキャンパスで特に賑わっていた「在学生との懇談コーナー」では、参加者が志望学科での学びや入試に向けた勉強、学生生活などについて詳しく聞いている姿が見られました。現役学生の「生の声」を通じて、言葉では説明しきれない津田塾大学の雰囲気も感じることができたのではないでしょうか。

 
 

キャンパスツアーは約30分かけてキャンパス内をまわります。

キャンパスツアー担当スタッフの打ち合わせ。

模擬授業レポート

オープンキャンパスでは、津田塾大学の教員による模擬授業が行われ、参加者が大学での学びに触れることができます。plum garden編集部は手分けをして、8月13・14日に行われた全ての模擬授業を聴講しました。ここでは、それぞれの授業のレポートをお届けします。

8月13日の模擬授業

多読学習を勧める英文学科・Jonathan D.Picken先生

Learning Vocabulary Effectivelly
Jonathan D. Picken先生(英文学科)


効率的な英単語の勉強の仕方をペアワークを通して学びました。長文を読む際に分からない単語をチェックするということは普段から皆さんもやっていると思いますが、そこから一歩踏み出し、「その単語はどれくらいの頻度で、どんな文脈で使われることが多いのか」に注目することで、より効率的に学習ができるそうです。英語のみでの講義でしたが、参加者は頷いたりメモをとったり、真剣に取り組んでいました。

アメリカの移民文学 ヨーロッパ系とアジア系の比較
池野みさお先生(英文学科)
 
「移民の国」と言われるアメリカですが、アメリカに移住してきた人々や、その子孫はどのような生活をしていたのでしょうか。実際の移民の生活を移民文学から紐解きます。移民たちにとって「アメリカに渡る」ことは希望溢れることであった一方、差別への直面でもありました。移民文学を学ぶことを通して、一つの国のなかの民族間の「対立」と「融和」の可能性を学ぶことができました。

国際関係学科・吉岡潤先生

国際関係の中で歴史を複眼的に見る-東ヨーロッパからの問い-
吉岡潤先生(国際関係学科)

 
出来事に関する評価は集団・社会によって異なるため、各コミュニティ間の「歴史」についての記憶が衝突することがあります。その衝突が、外交問題・国際問題に発展するのです。一つの出来事でも、立場によって様々な見方があるため、歴史は一つではなく、複数の異なる歴史が存在します。それゆえ、どちらが正しいのかではなく、複眼的なものの見方が大切だということを、模擬授業を通して学びました。

超越数とは?
太田香先生(数学科)
 
 1変数についての整数係数の方程式の解になっていない数を超越数と言います。 超越数は存在するのでしょうか。 もし存在するならば一体どんな数なのでしょうか。 「リュービルの定理」や「ゲルフォント=シュナイダーの定理」などの、超越数を作るのに有効な定理が紹介され、特にリュービルの定理を用いて具体的に超越数を作りました。 e、πが超越数であることは証明されていますが、eπは超越数かどうかはまだ未解決の問題だそうです。具体的な数が超越数かどうかを判断するのがいかに難しいのか改めて感じました。

総合政策学部の模擬授業を行う国際関係学科・大島美穂先生

De Bruijin列とその応用
貞廣泰造先生(情報科学科)
 
講義が始まると、トランプを取り出し一人に一枚ずつトランプを配り始めた貞廣先生。❤と♦を持っている人の場所から、配った全てのトランプのマークと数字を当てるといいます。見事手品は成功。あらかじめトランプのマークと数に0と1を振り分けておき、❤と♦を持っている人の立ち位置を5次のDeBruijn列に当てはめた手品だそうです。DeBruijn列をもとに考えられた手品から、0と1がつくる二進法の世界に魅了された50分でした。

総合政策学部でできること-北欧の北極政策を例に考える-
大島美穂先生(国際関係学科 2017年4月より総合政策学部に着任予定)
 
北欧の北極対策を例に社会科学における課題解決型の学びとは何かについて考えました。北極の何が「問題」なのか、なぜ議論されているのかを正確に把握することが重要だと学ぶことができ、また解決策を柔軟な思考実験の中で考察していく難しさを感じました。教室の最後列まで満席になった総合政策学部の模擬授業、参加者らは真剣なまなざしで聴講しており、新学部の注目度の高さが窺えました。
 
 

8月14日の模擬授業

英文学科・大類久恵先生

Benefits of Extensive Reading
Jonathan D. Picken先生(英文学科)

 
『Alice in Wonderland』の冒頭部分を読みながら、Extensive Reading(多読)の利点などを学びました。自分のレベルにあった英語の本をたくさん読むことで、英語を読むスピードを上げたり、新しい英語の語彙を身につけることができます。この模擬授業は、最初から最後まで英語で行われました。津田塾大学の英語の授業はほとんどがこの形式で行われます。実際の授業の様子のイメージが掴めたのではないでしょうか?
 
 

多文化社会アメリカの歴史を探る
大類久恵先生(英文学科)
 
歴史や言語、宗教の観点からアメリカの多様性について学びました。例えば、アメリカの国勢調査一つをとっても、複雑な人種構成や民族意識を垣間見ることができました。一つの事柄に焦点を当て、それを深く掘り下げていく。大学だからこそできる学びの楽しさを、参加者の皆さんも実感できたのではないでしょうか。興味深そうに授業を受ける参加者の姿が印象的でした。
 
 

数学科・菊池弘明先生の授業を真剣に聴く参加者

スペインから見るEU
中井博康先生(国際関係学科)

 
この模擬授業では、まずイベリア半島・スペインのおおまかな歴史を学んだ後、今度はその歴史を、カタルーニャやバスクなどのスペインの各地域から見ていきました。一つの国の歴史でも、その国のなかのそれぞれの地域に視点をおくことで、また違ったものが見えてきます。参加した高校生のなかには、世界史を学んでいる学生が多かったようで、しきりに頷きながら聞いている姿が見受けられました。
 
 

「無限」について考える
菊池弘明先生(数学科)

 
「無限」について「アキレスと亀(ゼノンの逆説)」を用いて学習しました。大学では「無限」のような、一見考えようもないものに対して焦点を当てる学びが少なくありません。このような時、どのように学問的にアプローチしていくのか、その一つの方法を学ぶよい機会になったのではないでしょうか。ホワイトボードに次々と書き加えられていく数式を必死にメモする参加者も多く見受けられました。
 
 

情報科学科・小舘亮之先生

マルチメディア情報(画像・音)の圧縮
小舘亮之先生(情報科学科)

 
 
スピードや効率が求められる情報の世界において、「圧縮」がどんな役割を果たすのかを中心に学びました。画像や音声のデータは文字にくらべて情報量が桁違いに多くなります。そこで必要とされものが、「圧縮」の技術です。音声データでは、人間の視聴覚能力では認識しない情報を間引いたり、動画では前後のコマで画面が変化した部分、変化しない部分を比較するといった技術が使われています。このようにして情報を圧縮することで、効率よく送受信できるようになります。やや専門的な内容でしたが、私たちの生活に身近な具体例を多く挙げてくださったので、参加者も理解しやすかったのではないでしょうか。

総合政策学部でできること
-サイバーフィジカル融合社会とオープンデータ-

小舘亮之先生(情報科学科 2017年総合政策学部に着任予定)
 
近年、スマートフォン、ソーシャルメディア、各種センサの普及により、実世界での活動に関する多くのデータが収集されるようになり、サイバー・フィジカル融合社会が到来し、行政やサービスにおけるデータの活用が世界的に注目されつつあります。なかでも注目されているのが著作権などの制約なしに自由に二次利用できて、機械判読可能な「オープンデータ」です。総合政策学部では、社会が直面している課題の具体的な発見、そして解決のために、このオープンデータをどう利用していくのか、オープンデータのエコシステムをいかに構築するのかについて、社会と連携しながら考えていきます。
 

 

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総合政策学部の説明セッションでは、冒頭に髙橋学長による挨拶がありました。

職員による個別相談

資料閲覧コーナーでは津田梅子をはじめとする、津田塾大学についての資料を閲覧することができます。

数学科、情報科学科、文学研究科の研究ポスター展示

在学生による大学紹介は毎回満席になります。

木々の間を抜けて進むキャンパスツアー。

津田塾大学のシンボルでもあるハーツホン・ホール

オープンキャンパス特別号、お楽しみいただけましたでしょうか。
次回のオープンキャンパスは12月11日、千駄ヶ谷キャンパスで行われます。ぜひそちらにも足を運んでみてはいかがでしょうか。