津田塾探訪
津田塾探訪 #24 後輩に送る、留学パンフレット
この秋、総合政策学部の学生及びその関係者向けに留学経験者のリアルな声をまとめた学生有志による冊子「留学パンフレット」ができました。今回の記事では、パンフレット作成の発案者である総合政策学部4年の阿部未瑛さん(大学3年の夏から12ヶ月間、私費留学を経験)と山田秋乃さん(大学3年の夏から10ヶ月間、協定校留学を経験)にお話を伺いました。
作成のきっかけ
— まずは「留学パンフレット」を作成しようと思い立った経緯を教えてください。
山田さん:私たちは2017年に千駄ヶ谷キャンパスに新設された総合政策学部の一期生で、学部に先輩がいない、キャンパス内にも他学部の先輩がいないという状況でした。私は協定校留学を経験したのですが、身近な先輩から情報を得られなかったことをすごく不便に感じていました。それで、後輩には同じような思いをしてほしくない、自分の経験を発信したいという思いから制作が始まりました。
阿部さん:協定校留学にしても私費留学にしても、情報収集が大変だねっていう認識は私たち二人の中であって、そこが「留学パンフレット」作成の原動力になりましたね。
内容について
— パンフレットを制作するうえでお二人が意識された点やこだわった項目について教えてください。
阿部さん:項目でいったら留学に必要な費用をできるだけ詳しく書くということですね。他の資料にはあまり書かれてないんですよ。費用の内訳とか、奨学金として支給される額については詳細がわからなかったので、学内用に制作するからこそ、国別にわかりやすく表示したというのが一つです。あとは英語力の変化ですね。よく “日常会話レベルがビジネス会話レベルになりました” と言うけれど、「それ、どういうこと?日常会話レベルって何!?」って思ったのです。なので、例えば日常会話レベルであれば「ネイティブの先生と一対一で趣味の話ならできる」から「専門的な話までできるようになった」まで、具体的な指標をいれるということを意識しました。
山田さん:協定校留学と私費留学、それぞれに対してgoodポイントとbadポイントを書いた部分ですかね。 協定校留学しか考えていなくても、そのマイナス面ってなんだろう?っていうのを事前に知っておいてほしいなと思いました。既存の留学報告書だとどうしてもプラスの面しか書かれていないですし、Web上で閲覧できる留学体験記でもマイナス面について書いてあるものってなかなかないんですよね。だけど事前に知っておけば覚悟できるし、その制度を使うかの判断材料にもなるので入れました。あとは事前準備についての項目です。みんな「事前にリスニングを頑張っておけば大丈夫ですよ」って言うけど、阿部さんも言っていたように「リスニングを頑張るって何!?」と思ってしまいますよね。
— 確かに指標となるレベルは知りたいですよね。
山田さん:そうなんです。頑張るとは言っても具体的に何をすればよいのか、英会話塾のに通うべきなのか、それともTOEICで〇〇点が取得できればよいのかという詳しい部分を私は個人的に知りたかったので、そこを協力者に書いてもらったのは大きかったです。
ー 制作過程で苦労した点があれば教えてください。
阿部さん:取材をした相手はみんな友人だったので、その点では進めやすかったです。ただ、校閲には時間がかかり、大変でした。デザイン面は山田さんが頑張ってくれましたね。
山田さん:最初は、留学を考えている学生の相談に乗る「留学カフェ」をオンラインで行う時に配布しよう、という規模感で制作していたのですが、総合政策学部でサポートしてくれる形になったのでより校閲に関してもモチベーションが上がりました。
阿部さん:学部で共有する制作物としては硬い文章がよいという意見もあったのですが、私たちが絶対に譲れない点としては「見てわかりやすい」、「本音が書いてある」という2点だったので、内容だけでなく絵文字の有無などもかなりネゴシエーション(交渉)しながら進めましたね。
留学に関する情報発信について
ー お二人はどのような方法で留学に関する情報発信をしていらっしゃるのですか?
阿部さん:パンフレット、留学カフェ、Twitter、LINEの4つで発信しています。現在、留学カフェはオンラインで実施していて、学芸学部と総合政策学部の学生がブレイクアウトルーム内で個別に相談に乗っています。私と山田さんは基本的に常任なのですが、申し込みの際に必ずGoogleフォームで質問事項を記入してもらい、そこで相談者のニーズやその割合を見てスピーカーを割り振るようにしています。
山田さん:Twitterでは私たち二人ともう一人の合計三人で運営しています。そこでは協定校留学や私費留学といった縛りはなくて、留学を目指している人みんなの参考になるような内容を発信しています。
阿部さん:LINEは私たち二人で運営しています。協定校留学か私費留学かで悩んでいる人が多くて、協定校留学であれば山田さんが、私費留学についてであれば私が回答するようにしています。個人情報保護の観点からどうしても留学カフェは津田塾生限定になってしまうのですが、より多くの人に留学を経験してほしいという思いからLINEでは他大学の学生からの相談も受け付けています。
留学を検討している人へ
ー この状況下だからこそ、今準備しておくことはありますか?
阿部さん:もちろん英語の勉強はやっておいた方がよいと思います。それに加えて、留学先で何をしたいのかを考えるのがすごく重要です。なんとなく留学してみたいなと考えている人もいるかもしれませんが、1年間って長いようで意外と短いんですよね。留学先で何をしたいのかをしっかり考えることで、それに向けたアクションを起こす動機付けになると思います。なんでその国なのか、そこで何をしたいのか、壮大なことではなくてもよいので、例えば友達がほしいだったら具体的に何人ほしいのかとか。それを決めることでより楽しめるし、より達成感のある留学経験になると思います。
山田さん:阿部さんが言ってくれたように、留学の目的を考えるのはすごく重要だと思います。他には、語学面で悩んでいるのであれば、TOEFLかIELTSのスコアをできるだけ上げておくと選択肢が広がるので勉強した方がよいと思います。あとは私自身、スピーキングで苦労したので、外国の方と会話をしたり、英会話教室に通ったりして留学に行く前からスピーキング力をあげておくと友達も増えるし、吸収力も違ってくると思います。
ー 今後、留学を考えている人に一言お願いします。
阿部さん:まず、留学すると異文化体験をとおして成長することができます。私としては津田塾から留学する人がもっと増えてほしいと思っています。今は新型コロナウイルスの影響で留学することが難しい状況ですが、今ではなくても、例えば大学4年生や社会人になってからでも是非挑戦してほしいです。
山田さん:準備があってこその留学で、この状況下で悩んでいる方もたくさんいるとは思います。けれども留学は、自分と全く違う世界で生きてきた人と日常を送ることで得られることも多く、言語も違う中で自分を成長させるいい機会です。特に長期の場合だと、違う国に1年間住むということは人生においてなかなかない経験になるはずです。留学を利用して自分の成長を見てほしいです。
お二人が運営するTwitterアカウント 『津田総政🦋留学応援します! 』