つだラボ
つだラボ #15 - カメラで遊ぼう!〜多重露光編〜
『カメラで遊ぼう!』企画、後編です。後編では、多重露光という技法を使って小平キャンパスを撮影しました。
(前編はこちら『つだラボ #15 - カメラで遊ぼう!〜スローシャッター編〜』)
多重露光のしくみ
多重露光とは、写真撮影における技術の一つで、1コマの中に複数の画像を重ね写すものです。今回は多重露光の中でも、2コマ撮影したものを重ね、1つのコマとして写真にする二重露光という技法を使いました。
私が「多重露光をやってみたい」と思い立ったのは、インスタグラムで二重露光モードを使ってチェキで撮影された1枚の写真を見つけた時です。それは、花と人が重なった色鮮やかな写真でした。花と人をただ一緒に撮影しても十分魅力的な写真になると思うのですが、その多重露光の写真は、さらに美しく、はかなげで、幻想的だったのです。
最新チェキにも、二重露光モードの付いている機種がいくつかあります。私は instax SQ6という機種を購入し、二重露光にハマり、持ち歩いてパシャパシャと撮るようになりました。せっかくなら、より多くの人にこの機能を知ってほしいし、この機能を持ちながら活かせていない人に知ってほしい。そんな思いから多重露光の企画は始まりました。
チェキで二重露光
まずは、チェキを使って撮影します。
今回は、二重露光機能が付いている、FUJIFILMのinstax SQ6(写真左)と、instax mini90のNEO CLASSIC(写真右)という機種を使いました。前者は正方形で、後者は長方形で写真がプリントされます。
チェキ企画を実践したのは夏休み中。「夏らしいもの」と「小平キャンパス」をテーマに撮っていきました。
最初はチェキの普通のモードで撮影。
「ファインダーから覗いた位置とレンズが写す位置が異なり、思い描いた場所とズレが生じる」「ファインダーよりもレンズが前に飛び出てしているので、焦点距離がわかりづらく、ピントが合わせにくい」など、苦戦しながらチェキに慣れます。デジタルとは違うフィルムならではの味わいも楽しみながら。
次は二重露光モードで撮影。一度シャッターを押し、今度は違う方向にカメラを向け、撮影します。そうすることで、本来重なることのないもの同士が重なった、1つのコマとして1枚の写真ができます。
中庭、色鉛筆、ラムネ、トマト、制汗剤。いろんなものを重ねます。
色と色を重ねると、透けて写り、右下の写真のように色が混ざったりして涼しげな写真になりました。
柄と柄を重ねた右上の写真は、ラムネの存在感が薄くなってしまいました。柄と柄ではなく、柄と無地を重ねると綺麗に写ります。
今度は部員3人で小平キャンパスを巡り、通常モードと二重露光モードを使って写真を撮りました。
1年生部員S.H.
チェキを使ったのは初めてだったので、最初はピントが合う距離や綺麗に出る色を探すのが難しかった。うまく色が重なった時は達成感を感じた。
4年生部員S.M.
現像するまで、どう映るかわからないチェキにワクワクしながら撮影した。二重露光では、物と物を自分の想像通りに重ねるのが難しかった!
4年生部員W.Y.
左下の写真は、中庭の花壇とセンターオフィス(教務課などが入る建物)が花屋のよう。上の3つの7号館の風景と竹の写真もお気に入り。
自分がファインダーを覗いて想像した通りには映らない写真のもどかしさ。逆にそれが面白さだったりもするのでした。また、手入れされている津田塾の花々、校舎の良さも感じる写真でした。
デジタルで二重露光
OLYMPUS OM-D E-M10で、「撮影モード2」→「多重露光」→「2コマ」を選択。
チェキと異なるのは、「1回目に撮影したものが透けて見える状態で2回目のシャッターを切れる」「明るさやシャッタースピードを自分で調節する」「やり直しができる」という点です。
天候や室内の明るさなどの条件によって明るさを調節します。この日は、1回目は明るめ、2回目は1回目より暗めに設定すると、被写体が薄くならずに写りました。
ぬいぐるみを撮ってみる
右の被写体は1回目のシャッター、左は2回目のシャッターで撮りました。左は自然光が当たり、少しぼやけてしまっています。
大きさを変えてみる
巨大なドーナツ。
簡単な写真に見えますが、実は一番手のかかった写真です。ドーナツがしっかりと写るように、白くて明るい、柄のない壁を探しました。そして、ドーナツと人の位置の調節、明るさの微妙な調節。デジタルなので、撮った写真を確認しながら試行錯誤することができました。
いろいろ重ねてみる
チェキの時と同様、花や草木を撮影すると華やかな印象に。
チェキとデジタル
デジタルとチェキどちらも体験して、それぞれの良さと難しさを感じました。
・チェキ
・チェキ
フィルムならではの味わいがある
チェキから写真が出てきてから現像を待つワクワク感がある
ファインダーから覗いた位置と実際の写真が大きくずれることが難しい
想像を超える良い写真が偶然生まれると嬉しい
・デジタル
前に撮った写真がファインダーに薄く表示されたまま、それに合わせて二枚目を撮れる
失敗したらやり直しができる
明るさを二枚の写真でそれぞれ異なる設定にできる
チェキなどのフィルムはやり直しができません。そのため、フィルムで取りたい場合、デジタルで一度撮りたいものを練習してから、フィルムで撮ると失敗が少なく済みます。
いかがでしたか?
前編・後編を通して、通常とは異なる技法を使って写真を撮りました。一見、取っ付きにくくて難しそうに見えて、案外簡単です。スローシャッター、二重露光以外にも撮影の技法はたくさんあります。新しい技法に挑戦すれば、「インスタ映え」にとどまらない世界が広がるかもしれません。