つだラボ

つだラボ #17 - 運営メンバー対談記事 第1弾 あの記事の裏側

運営メンバー対談 第1弾

2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、津田塾大学の多くの授業がオンラインで実施されました。plum garden編集部もオンラインで定期的な編集会議、インタビュー、執筆といった活動を行いました。この記事では、そのような状況下でもplum gardenの活動を継続した2020年度・2021年度運営メンバー6名による対談の様子を取り上げます。第一弾では対談で出た話題の中から、2020年度にリリースされた記事『オンライン授業で不安なみなさんへ』『悩める後輩を陰で支える上級生』の裏話をご紹介します。

運営メンバーによる対談、zoomにて実施されました。

記事『オンライン授業で不安なみなさんへ』について

 最初に取り上げる記事は2020年度、新入生を中心に多くの人々に読まれた記事『オンライン授業で不安なみなさんへ』です。


・・・

この記事が構想されたのは2020年4月中旬。
新型コロナウイルスという未曽有の事態により、多くの人びとが先行き不透明な生活に不安な気持ちを抱えていました。学生たちの間でも、大学や授業に対する不安や不満の声がちらほらと聞こえていた時期です。
一方で、先生方がオンライン授業の準備に追われているという話も、漏れ聞いていました。そんな折、ふと「学生である私たちplum gardenには何ができるか?」と思ったのです。
実は、津田塾の授業には、先生方だけの努力に任せるのではなく、学生たちもよい授業をつくろうという雰囲気があります。それは新入生が、上級生もいるキャンパスで授業を受けることによって、自然と身についていく伝統だと思います。
しかし、オンライン授業になったら、その伝統を新入生が感じ取る機会がなくなってしまうかもしれない・・・。そんな危機感がありました。そこで、「新入生に向けて、自分たちの授業体験談を交えながら、これまでの授業の雰囲気を伝えるのはどうだろう?」というような提案を、部内に投げかけました。
 
同じ日、一部員のちょっとした発言から、オンライン授業や大学の新型コロナウイルス感染症対策に関する議論が深夜まで白熱し、「大学公式の広報媒体であり、かつ情報発信を担うplum  gardenは、大学と学生、どちらに寄り添うべきなのか。」というplum gardenの記事方針の話にまで発展していきました。
 
大学広報も担う公式Webマガジンとして、これまでも学生目線からの記事をリリースしてきたplum garden。このようなplum gardenの立場を活かし「大学・学生のどちらか一方に偏るのではなく、大学と学生の架け橋になるような記事をリリースしたい」という思いは、議論をしていく中で、より明確になっていきました。この記事は、そうしたplum gardenの在り方自体に対する理想や願いも込めて、執筆したものです。
 
(記者:ミナルーシュさん談)
・・・

運営メンバーの皆さんには、編集部員として感じたことや裏話について話していただきました。

2020年5月1日リリース『オンライン授業で不安な皆さんへ』記者:ミナルーシュ

・・・

乙川さん:『オンライン授業で不安なみなさんへ』を読んでみると、plum gardenでよく書かれている記事と比較して、「高校生の時、私はこうだった」といった、ミナルーシュさん自身が体験されてきたお話が書かれていて。私自身は今までもplum gardenでいっぱい記事を読んできたし、先生方のインタビューでは写真も撮ったので、一緒に執筆に参加させていただいたこともあったんです。この記事はどの記事とも違う、でもplum gardenらしい、学生にそっと寄り添う記事で。読んでいて私自身も腑に落ちる点があって「学生に寄り添った記事を書くって、こういうことか」「さすがミナルーシュさん」と思いました。

きょーかさん:plum gardenをとして出されている記事ですけれど、plum gardenの編集部から、というよりは、津田塾の先輩から後輩へのメッセージみたいな雰囲気があるかなと感じました。他の記事とは発案からリリースまでの流れが違っていて。津田塾の先輩の優しいところ、後輩思いなところが自然と出てきた記事なのかなって思いました。

めんだこさん:寄り添っている感じですよね。学生視点ですし。
 
橋岡さん:堅苦しすぎなくて、ちょっとエッセイっぽい雰囲気なのが、学生目線で寄り添っていると捉えられていいのかなと、読んでいてすごく思いました。私はキャンパスレポートを担当することが多くて。「今津田塾はこんな様子ですよ」っていうのを客観的に書かなきゃと思いながら担当していたんですけれど、この記事を読んでみて「読み手からしたら、記者のエピソードがあった方が柔らかい雰囲気になって興味をそそられるな」という発見がありました。自分もキャンパスレポートを書くときに、今までは「桜が咲きましたよ」のように四季折々の風景を気にして書いていたのですが、「私は特にこう思いました」というような表現ももちょこちょこ入れていった方がより豊かな記事になるのかなと、この記事を読んで気づきました。
 
東本さん:私は記事のリリース当時1年生で入学したてだったということもあり、1度も通学しないまま授業を始めるのがとても不安で。パソコンから授業に入ることや、課題を提出することも不安でした。この記事は5月1日にリリースされたと思うんですけれど、優先的にリリースされたのですか。
 
乙川さん:その時、私がスケジュール管理をしていたのですが、ミナルーシュさんができる範囲内で、早めに取り掛かったと思います。この時はオンライン授業の準備期間で、私はセミナー以外の授業は始まっていなかったので「絶対に授業が本格的に始まる5月第2週前に出さねば!」って感じで、はやめはやめに、他の記事のリリース時期も考慮しつつ一部後回しにして、という流れで進めました。
 
東本さん:やっぱりそうだったんですね。これからも授業形態が流動的な状況で、この記事のように「緊急で出したい、今このタイミングで出したい」という記事が出てくるんじゃないかなと思っています。
 
きょーかさん:今話を聞いていてふと思ったんですけれど、キャンパスライフを知っている私たち上級生と、まだキャンパスライフを知らずに過ごしてきた新2年生も含めて「オンライン授業の1日」のような「朝起きて、授業受けて、昼休み何してるの?」みたいな記事もよいと思います。私はすでに友達がいたからLINEなどでやり取りをしていたけれど、下級生がどうやっているのか知らないですし、その1日のスケジュールを参考に例に出して、だいたいどんな感じで授業を受けて、どんな感じの休み時間や空きコマを使っているのか、課題を友達と連携してどのようにやってきたのか、とか私たちは1年やってきて当たり前なことを、津田塾生の1日としてあえて取り上げてみるのも面白いかなと思いました。
 
橋岡さん:私も1、2年の時はキャンパスで課題提出って当たり前にしていたけれど、新入生には「パソコンで課題提出するんだ。しかも授業もオンラインなんだ。でもキャンパスに行っていいし、授業は受けていいんだ。」と一気に情報がくると思うから、こういう記事は今年もリリースしたら良いと思う。『オンライン授業で不安なみなさんへ』のように「オンライン授業にはこういうエピソードもあって」という内容も入れながら何人かで記事を作ってくれたら、大学に入学した人も、plum gardenに興味がなかった人も見てくれそうな気がする。
 
石井さん:私もこういう記事を出すのは良いと思っています。去年はミナルーシュさんが『オンライン授業で不安なみなさんへ』を出してくださいましたが、今年は「オンライン授業を受けてきて、新入生にアドバイス」とか。それこそ2年生は新入生の気持ちがよくわかると思うので、自身の経験を基に記事を書いたら面白いんじゃないかなと思います。
 
橋岡さん:いつコロナが収まるかわからないけれど、もしこのような状況が毎年続くのであれば、振り返りとまた今年から1年っていう節目になると思うから。振り返りって意味での記事があってもよいかなと思います。

・・・

この記事のリリースの裏側には、オンライン授業に対して不安を抱くだろう下級生に対する上級生の優しさ、授業が始まるまでになんとか間に合わせようと調整した部員の強い思いがありました。また、学生が執筆を担当する大学公式Webマガジンplum gardenだからこその在り方が、改めて提示された記事だと思います。今後も『オンライン授業で不安なみなさんへ』のような、新入生に向けた記事、年度が変わる節目となる記事を執筆できそうですね。

 

記事『悩める後輩を陰で支える上級生』について

 次に、同じくオンライン授業が続く中で執筆された記事『悩める後輩を陰で支える上級生』を取り上げました。

 
こちらの記事は、実際に新入生として上級生のサポートを受けた担当者が「通常とは異なる状況でも、下級生を支えようと行動してくださる上級生がいること」を取り上げたいと思い書きました。津田塾生の「後輩を支えたい」という思いが強く表れている記事となっています。
 

2020年9月23日リリース『悩める後輩を陰で支える上級生』記者:Lina


・・・

東本さん:個人的に前から知っている津田塾の後輩がいるんですけれど、その子にこの記事をポンッと送って「こういうのがあるんだよ」と紹介しました。私が口頭で説明するよりもこの記事を1回読んでもらった方が早いなと思って。この記事を読んで初めてアカウントの存在を知ったっていう同級生も多かったので、公式ではなくても自主的に活動している方たちを、こうやって取り上げてくださったのはすごくありがたいなと思っています。
 
めんだこさん:2021年の現在でも、SNS上で新入生をサポートする団体が沢山あるんですよ。やっぱりこういった記事とか、実際にSNSで動かしてくださる方々の影響が大きいなと感じました。みんな、サポートしたいという気持ちになっているので。
 
乙川さん:そうですね、逆に「SNSをやっていない子ってどうなんだろう」って感じます。私はSNSをやっていなかったので、もしコロナ禍での新入生だったら困っていたと思う。
 
橋岡さん:津田塾大学のガイドブックにも「何学科の人の1日で、こういう予定でこう過ごしてます」みたいなページがあるけど、SNSのリアルタイムの情報じゃないと伝わらない部分ってたくさんあるし、気軽さが違うよね。これだったら関係を築いて先輩とコンタクトがとれる。でもSNSを使ってない人は難しいですよね……。
 
東本さん:だからこそ、こういった団体を拾い上げることはすごく大事かなと思ってて。この記事で取り上げた津田塾大辞典さんはパイオニア的存在というか。そこから派生してサポート団体やコミュニティが出てきたと思うので。もちろん新1年生にとってありがたい存在ではあるんだけれど、SNSを使っていない人も中にはいると思います。そういう人にも届けるためにplum gardenという大学の公式の媒体から拾い上げて「こういうことをしている団体やコミュニティがありますよ」と紹介するだけでもいいかなと思いました。この記事『悩める後輩を陰で支える上級生』は知名度を高めるという意味でよかったと思います。やはりSNSで発信するのと、公式で紹介するのとでは、認知度が違うなと感じました。
 
橋岡さん:沢山あるならなおさらね。もしサークル専用や交流用で、差別化に成功しているのであれば「特にサークルでお悩みの方はこのアカウント」とかできるよね。私も全部のアカウントは見ていないけれど、今度4年生になるから津田塾の就活サポートのアカウントがいくつかあるのを見るかな。あとは学生がNPO系の団体と連携してトークショーを開催して「興味ある人来てみてください」とか。「ボランティアでこういうことをやっているので、皆さん参加しませんか」といった紹介みたいな。非公式の学生団体を発信する記事があっても面白いよね。
 
東本さん:ちなみに総合政策学部だと、新入生サポートコミュニティが4月から2年生になる私と同期の代で発足してます。YouTubeに投稿してる同級生も。他にも、Webサイトを設置して授業の口コミといったものを発信する非公式の宣伝コミュニティがありますね。
 
・・・

『悩める後輩を陰で支える上級生』では1団体のみ取り上げましたが、多くの上級生が様々な形でオンライン授業下でも新入生をサポートできないか試行錯誤しているようです。津田塾大学公式のWebマガジンplum gardenだからこそできることが、まだまだありそうですね。
 
運営対談企画第1弾は以上になります。
次回は編集部員のおすすめの記事についての対談の様子をご紹介いたします。

(イラスト担当:総合政策学部 総合政策学科 4年 橋岡 侑子)