Tsuda Tsuda C ~津田塾生のホ・ン・ネ~

TTC #5 - イギリス滞在記

ヨークから少し離れたKnaresboroughにて。石造りの橋が目を引きます

津田塾大学と聞いて、みなさんはどんなイメージがありますか?おそらく、「英語に力を入れている」「海外への関心が強い」と思う方が多いでしょう。実際に、海外の大学へ長期留学する学生や、長期休暇を利用して海外へ繰り出す学生は数知れず。行き先も、ヨーロッパ・アジア・アメリカ・オセアニアと多岐に渡ります。
今年の8月、私は『夏期語学研修・ヨークプログラム』に参加しました。このプログラムは、津田塾大学の国際センターが主催している企画の一つで、イングランド北部の街・ヨークに3週間滞在します。現地ではホームステイをしながらヨーク大学に通い、短期間ながらもしっかりと語学力を鍛えることができます。また、研修中は座学の授業だけでなく、ヨーク周辺の観光地へ日帰り旅行することもあります。
それでは早速、滞在先のヨークとプログラムで訪れる数々の名所へ、みなさんをお連れしましょう。

 

York

イングランド北部の街、ヨーク。ロンドンへもエディンバラへも鉄道で2時間の位置にあるここは、古い町並みが残る一大観光都市です。かつてローマ帝国やヴァイキングの襲撃にあったこの街では、今でも城壁が残っています。街には、昔ながらのパブや、ブランドショップが並ぶストリート、様々な博物館が詰め込まれており、イギリスらしい見どころにあふれています。

 

York Minster

York Minsterは、ヨークにいる人々誰もが認める街のシンボルです。中は典型的なゴシック様式で、天井を見上げると眩暈を覚えるほど高いです。一歩足を踏み入れると、ひんやりとした静かな空気に包まれて、思わず背筋が伸びます。

特に、ヨークを象徴する白バラがあしらわれたステンドグラスは、言葉を失って見入ってしまいます。中を歩いていると、パイプオルガンから時報の音楽が奏でられました。神聖な音色に、しばらく立ち止まって聞き入ります。


Afternoon Tea

イギリス、といえばアフタヌーンティー。今回はBetty’sというヨークで一番の人気店でいただきました。順番を待つこと約1時間。清潔感のある制服を身につけた店員さんに、”Ladies,”と呼びかけられます。中に入ると、すでにたくさんのお客さんがティータイムを楽しんでいました。緊張しながら席に着き、お値段は張りますが、少し背伸びしてアフタヌーンティセットを注文。しばらくすると、ポットにたっぷりの紅茶と、三段皿のスタンドに盛られた軽食が運ばれてきました。オシャレなサンドウィッチは塩加減が絶妙。焼きたてのスコーンに、クロテッドクリームとイチゴジャムをたっぷりと塗って頬張れば、幸せの味が広がります。一番上の皿に盛られたケーキやマカロンも思わず笑顔がこぼれるおいしさでした。

 

National Railway Museum

ヨーク駅のすぐ隣には、National Railway Museumがあります。展示室には、ヴィクトリア朝時代のプラットホームが再現された場所や、数々の列車が並ぶ転車台がありました。これだけ見応えがある博物館であるにもかかわらず、入場料が無料というのには驚きです。鉄道に詳しくない私でも、迫力ある列車たちに興味津々になりました。

展示室のカフェスペースで軽食をとることもできます


ヨーロッパとイギリスをつなぐ、ユーロスター

なんと、日本の0系新幹線も展示されていました

 
 

Whitby & Goathland

学校の日帰り旅行ということで、ヨークからバスで2時間。港町Whitbyに着きます。潮風にはためくユニオンジャックが眩しいこの街にも、ヨークに劣らず多くの人が訪れていました。

この街は、ブラム・ストーカーが滞在していたこともあって、彼の代表作『ドラキュラ』にも登場します。
 

石畳の街並みを歩いていくと、いろいろなお店に出会えます

商店街を抜けた先には、199段の階段がそびえています。一歩一歩息を切らしながら上り切った先には、墓地に囲まれた教会がありました。

階段を上りきったところにある教会。こぢんまりとしていながら、厳かな雰囲気に気が引き締まります。

 

Whitby Abbeyは、もともと修道院だった建物の廃墟です。ブラム・ストーカーがこの姿を見て『ドラキュラ』を着想した、というのも頷けます。

 
 

fish and chips

ちなみに、イギリスではフライドポテトのことをchipsと呼びます

イギリスを代表する料理、fish and chips。ここ、Whitbyでは、イギリスで一番おいしいと評判のfish and chipsを食べられます。サクサクの衣に包まれたタラと、お皿に溢れんばかりに盛られたフライドポテト。モルトビネガーをたっぷりかけて頬張れば、アツアツのタラがほろほろと口の中で広がります。これだけの大きさがあるにもかかわらずフォークがスイスイと進み、気が付けばお皿は空になっていました。


Goathland

Whitbyのすぐ近くには、Goathlandという小さな村があります。ここの駅は、映画『ハリー・ポッター』シリーズのロケ地として使われたので、多くの人が訪れていました。

観光客が固唾を呑んで見守る中、列車が到着しました。目の前に現れたレトロな列車に、周囲の目が感動で輝きます。

轟音と共にやってきた列車は、本当に魔法学校へ連れて行ってくれそう

Fountains Abbey

また、別の日の日帰り旅行では、Fountains Abbeyに行きました。ここはもともと修道院で、現在はイギリスの環境保護団体ナショナルトラストが管理している国立公園の中にあります。石造りの壁は、青い空と芝生の緑のコントラストによく映えます。

朽ち果ててしまい、修道院としての機能を失った今でも、かつての威光を存分に感じられます

ぽつりと立ち尽くす十字架に、幾重にも建てられたアーチ。まるで、ファンタジーの世界に迷い込んだような錯覚に陥ります。

Fountains Abbeyの周りは、大きな湖のある公園になっています。森に囲まれた公園は、ただ道を歩いて空気を吸うだけで心まで洗われます。年を取ってから再びここに来たいと思うほど、静かで落ち着いた公園。空の青を映した湖は、まるで澄み切った鏡のような光を湛えていました。


Oxford

街の中にある博物館。古今東西、様々な史料を見られます

さらに、特別講義を受けるために二泊三日で訪れたのは、言わずと知れた大学の街、オックスフォード。いくつもの大学で構成されたこの街には、道を歩いているだけで知的な雰囲気を感じ取れます。大学の図書館や大きな博物館、様々な本を扱う本屋が並ぶ通りを見ていると、この街自体が一人の学者のように思えてきます。

 

St Hilda's College

St Hilda's Collegeは、津田塾大学の創始者である津田梅子先生が訪れたこともある大学です。大学の庭の一角には、津田梅子先生の来訪を記念するプレートが設置されています。

 

中庭の片隅にあるプレート。彼女はここで、どんなことを学んだのでしょうか

Christ Church

Christ Churchは、オックスフォードの中でもひときわ人気を誇る施設の一つ。大学と教会を兼ね備えたここは、イギリスの偉人を数多く輩出しています。また、ここの大食堂は、映画『ハリー・ポッター』シリーズに登場する食堂のモデルになったとされています。

大食堂の壁には、歴代の卒業生の肖像画が掛けられています

Christ Church内の教会

この他にも、それぞれの街には見どころがたくさんあります。また、休日にはロンドンやエディンバラといった都市へ日帰り旅行にも行けます。英語の勉強だけでなく、こうした日帰り旅行を通してイギリスの景色や文化に触れられるのも、このプログラムの良さの一つです。

自由行動の日に同じホームステイ先の子と訪れたロンドン。本物のBig Benとダブルデッカーのバスに、思わずはしゃいでシャッターを切りました

いかがでしたか。このヨークプログラムでは、イギリスの文化や生活スタイルを思う存分体感することができます。日本での生活と大きく違うことも多いため、初めは戸惑うことも多いです。しかし、日本ではなかなか食べられない料理や、イギリスでしか見られない風景、そしてイギリスという国の空気は、実際に足を運ばないと感じられないものばかり。かねてよりイギリスへ行きたいと思っていた私にとって、今回の渡英は感動の連続でした。

さらに、研修中はホストファミリーや現地の先生と話すときに英語を使わなければならないため、自然と英語で物事を考える癖がつきます。そのため、帰国した後も英語学習に一層意欲的になれました。実際に私は、研修を終えてから英語で日記をつけるようになり、イギリス英語とアメリカ英語の違いに一層関心を持ちました。

また、研修中に出会った仲間と学校で再会して、挨拶を交わすこともしばしば。学年を越えたつながりを得られる機会でもあります。異国の地で結んだ絆は、私にとってサークル活動やアルバイトで築く人間関係とは一味違ったものになっています。

 
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国際センターが主催する『夏期語学研修』は、ヨークの他に、アメリカのインディアナへ行くプログラムと、カナダのマギルへ行くプログラムがあります。この語学研修を機に、長期留学を志す学生もいるそうです。
もし、この『夏期語学研修』に興味を持たれた方、または海外へ行ってみたいと思った方は、ぜひ一度日本から飛び出してみてください。もしかしたら、言葉や行き先の国の文化だけでなく、自分自身の新たな一面を発見できるかもしれません。