津田塾探訪

セミナー訪問 伊藤るり先生


いつの間にかお正月ムードも終わり、千駄ヶ谷キャンパスから近い新宿や代々木のお店はすっかりバレンタイン一色です。

セミナー訪問連載3回目となる今回は、初めて総合政策学部総合政策学科にフォーカスを当てます。セミナーが必修となっている総合政策学科では、1年次は自動的に各セミナーを割り振られますが、2年次には学生自身が「パブリック・ポリシー(公共政策)」「エコノミック・ポリシー(経済政策)」「ソーシャル・アーキテクチャ(社会情報)」「ヒューマン・ディベロップメント(人間社会)」の4つの課題領域を選択し各セミナーへ所属、3・4年次では同じ先生のもとで2年間研究を進めていきます。


今回は国際社会学の研究を専門とし、「ヒューマン・ディベロップメント(人間社会)」のセミナーを担当していらっしゃる伊藤るり先生と、先生のセミナーを受講している学生からお話を伺いました。


総合政策学科 伊藤るり先生

「国際社会学」

1年セミナーでは学生がランダムに振り分けられてクラスが形成されます。このときに先生が進め方として目安にされていることはありますか?

伊藤先生:1年生には「専門的文書の調べ方」「発表資料(レジュメやスライド)のまとめ方」「発表の仕方」「質問の仕方」を学んでもらうことになっています。少人数のセミナーですので、公的な場で発言する、また、セミナーの仲間と互いの意見をよく聞いて討論するための作法を覚えることも重要だと思っています。そのためには、教員はなるべく発言しないのが理想ですが、そうもいかず・・・。気がつくと一人で解説していることも結構あります(笑)。私の専門は社会学なので、1年次では「日本社会入門」のつもりで各タームの文献を決めて文献講読を行なっています。例えば2018年度は第1タームで在日外国人、第3タームで階級社会論、第4タームでジェンダーを取り上げました。

1年次、伊藤るり先生のセミナーに所属していた髙橋凜さんからお話を伺いました。

学生による研究発表会。レジュメや参考文献もたっぷり

1年生ではどのようなことを学びましたか?

髙橋さん:1年セミナーの担当教授が決まるまでは、地域政策について学びたいと思っていました。出身が茨城県なのですが、実は茨城は全国魅力度ランキングが最下位なんです(笑)。暮らしているからこそ実感できる茨城の魅力があると思っていて、その発信方法を学びたいと思っていました。1年次は地域政策そのものについて学習する機会はあまりありませんでしたが、文献講読をとおして移民問題や階級社会問題など様々な側面で社会を俯瞰的にみていくうちに以前よりも広い視野を得ることができたと思います。特に階級社会問題についてはより深く学んでみたいという気持ちが強く、今も引き続き伊藤先生のセミナーに所属して学習しています。

3年次からは課題領域ではなく所属するセミナーの先生を選択し、学生たちはその後3、4年と通年で同じセミナーで学習を進めることになります。
現在3年セミナーに所属されている栗城ゆかりさんにお話を伺いました。

なぜこのセミナーを選んだのですか?

栗城さん:伊藤るり先生は私が2年生になったと同時に津田塾大学に着任されました。国際的な研究をされている先生が入ってこられるという話は他の先生から聞いていました。高校生のときから漠然と国際的なことに興味があったので、2年生になったら伊藤るり先生のセミナーを受講しようと決めました。

現在3年セミナーで使用されている文献の数々

現在どのような研究をされていますか?

栗城さん:私は「ベトナム人技能実習生の置かれている現状」について研究しています。最初は特にこれといったテーマはなくて、先生がインディペンデントスタディのテーマとして「オリンピックに関係のある社会問題」というのを設定された時に、千駄ヶ谷キャンパスから見える国立競技場が目に入ったんです。 あれを作るのにもたくさんの外国人労働者の方々が関わっているんだなぁ、ということに気づきました。1年生の夏にボランティアを行うためにベトナムを訪れたこともあり、ベトナム国籍の技能実習生の方々にフォーカスを当てることにしました。 伊藤るり先生はあらゆる質問にいろいろな視点で返答をしてくださるので、どのような研究テーマを設定していてもしっかりとサポートしてくださいます。

最後に、伊藤るり先生へこのセミナーをとおして、学生に学んでほしいことは何かをお聞きしました。


可能な限り自分が見ている景色とは別の景色を知ってほしい

伊藤先生:総合政策学科の学生には4つの領域それぞれで課題を見つけ、その解決策を考えるための力を蓄えることが求められていると思います。しかし、どの領域に属していても共通して言えるのは、政策立案者がほぼ例外なく社会において恵まれた階層の出自であるか、そうでなくてもエリート層のものの考え方を志向する傾向にあるということです。ですから政策案を考える際、その問題の当事者、特に不可視化されている人びとの視点に身を寄せていくことが大切になってきます。若い学生の間に、できるだけ自分が育ってきた環境から一旦抜け出し、不利な立場に生きる人たちの視点で社会を眺める力を養ってほしいと考えています。可能な限り自分が見ている景色とは別の景色を知ってほしいですね。それが社会学的想像力を豊かにしていくはずです。

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今回初めて総合政策学部に焦点を当てた”セミナー訪問”。
次回以降もより多くのセミナーを紹介していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ第1弾第2弾も合わせてご覧ください。


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