先生、あの話をしてください

学生の実践的な学びを支援する、外国語チャットルーム

津田塾大学のカリキュラムの特徴の一つに、充実した第二外国語教育があります。フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、中国語、韓国・朝鮮語の6言語から選択でき、特に英文学科・国際関係学科の学生は程度IIまで必修です。また、3年次以降も、自主的に選択科目として程度III以上や第三外国語にチャレンジする学生も珍しくありません。そのような学生を応援するように、今年度、留学生をチャットリーダーにした「外国語チャットルーム」という試みがなされています。主に昼休みを利用して、ランチを囲みながら、外国語でおしゃべりをする…。そんな「外国語チャットルーム」の事業代表である、国際関係学科の中井先生にお話を伺いました。
 

「外国語チャットルーム」とは


この4月から実施されている外国語チャットルームは、一体どのようなものでしょうか。


plum gardenの過去の記事で、稲垣先生が英語を習得するコツについてお話をされています。日本人にとって英語をマスターすることが難しい理由の一つとして、「そもそも教室外で英語を使う機会が少ない」点が挙げられていましたが、第二外国語に関しても同じです。ある言語に習熟するためには、具体的な状況でアウトプットを継続する必要があります。特にネイティヴと話し、その言語が使われている社会に接することは、学習意欲を高め、持続させることにもつながります。」
 

「英語なら最近、多くの大学や自治体で、英語カフェやイングリッシュ・ヴィレッジなどの取り組みが行われています。しかし、英語以外の言語となると、そのような機会はあまり多くはありません。また、第二外国語は大学生から勉強を始める人がほとんどですので、きちんとマスターしようとすれば、英語以上に工夫をする必要があります。われわれ教員がどのような授業をするかも大事ですが、学生が授業以外にも外国語に触れられるような環境を用意することがとても重要になってきます。そこで今回、「外国語チャットルーム」を一年間、試験的に実施することになりました。」
 

津田塾大学は、正規の授業でもしっかりと第二外国語を学ぶことができます。チャットルームと普段の授業との違いは何でしょうか。

 

『気楽におしゃべりできる場』が、このチャットルームのコンセプトです。教員による授業ではなく、円くなって飲食しながらの「おしゃべり」であるということに意味があると考えています。そのため具体的な内容については、チャットリーダーである留学生に任せています。同じ大学生の目線で、お互いの社会について教え合ったり、翌週のテーマについて話し合ったりするのは、異文化交流や協働学習にもなっていると思います。」

 

その他の外国語を学ぶということ

英語が世界共通語とされる中で、その他の言語を学ぶ意義とはなんでしょうか。
 
「いろいろありますが、何と言ってもアクセスできる情報の質と量が違ってきます。いくら世界共通語といっても、すべての文献が英語で書かれているわけではありません。日本語や英語では得られない情報が、例えばスペイン語の知識があれば簡単に得られる、なんてことはごく普通にあります。」
 
「本学では授業を利用して英語以外に6つの言語が学べますが、時間割をやりくりして履修登録し、予習復習して試験も受けてとなると、どうしても心理的にハードルが高くなります。もちろん、だからこそ体系的な知識が得られるわけですが、ある言語を独学で少しかじったというレベルでも、知見は広がります。それにチャットルームを活用すれば、授業科目にはない言語、今回ならフィリピン語に触れることも可能です。まだ今年度限りの試験的なものですが、ぜひ恒常化されるよう、今後も努力を続けたいと思います。」 

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参加者の声

中国語

呉思語さんと中国語チャットリーダーの劉艾葶さん

 「前回は四川料理や広東料理など、地域による料理の違いについて話しました。基本的には日本語は禁止ですが、難しい場合は日本語を話しても大丈夫な雰囲気です。気軽に参加できるところがいいと思います。(英文学科2年)」

 
「友達に誘われて参加しました。わからない人でも話しやすい雰囲気で、書いて教えてくれることもあるので、続けていたら力になると感じます。(国際関係学科2年)」

韓国・朝鮮語

韓国・朝鮮語チャットリーダーの劉世恩さん

 「韓国の留学生と知り合う機会にもなるし、自分の勉強にもなるので、とても良いなと思います。(英文学科4年)」

 
「授業よりも多く会話をすることができるし、スラングなどの生きたことばを学べるので楽しいです。(英文学科2年)」
 
「周りのみんながとても話せるので、もっと勉強しようと、刺激になります。(国際関係学科2年)」

フランス語

フランス語チャットリーダーのManon Friesさん

「最初は自己紹介から始まって、前回は道案内の仕方について話しました。ここでは、思いついたことをパッと訊くことができて、そこからどんどん話が広がっていくのでとても面白いです。またこういう場に参加している人は、熱心な人が多いから、刺激も受けますね。(国際関係学科3年)」
 
「こういう社会だからこういうことばができた、ということを学べるのが楽しいです。いろんな人と話すことが好きなので、ほぼ全ての言語のチャットルームに参加しています。(国際関係学科4年)」

スペイン語

スペイン語チャットリーダーのLeslie Lópezさん

「まだスペイン語を勉強し始めたばかりで、しゃべれないんですけど、興味本位で来てみたらすごく丁寧に教えてくれて、楽しいので続けて来ています。自己紹介くらいなら話せるようになりました。(国際関係学科1年)」
 
「最初は少し躊躇したのですが、慣れていかないと話せるようにはならないと思って参加しました。とても楽しいです。(国際関係学科1年)」 

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授業で学んだことを存分に発揮するように、どのチャットルームの学生も、おしゃべりに花を咲かせていました。中井先生曰く、学生の意見を取り入れながら、今後も少しずつより良い環境になるよう整えていくとのこと。このような実践的な学びの場が、活動を海外へ求める学生にとって、有意義に活用されることを願います。
 
※他にも、今期はフィリピン語が実施されています。また後期にはドイツ語とロシア語も実施予定とのことです。